内容説明
《クトゥルー神話》の創造主にして二十世紀最高の怪奇小説作家、H・P・ラヴクラフト。その偉業を俯瞰する文庫版全集はここに完結する。本巻には、一万年前に栄華をきわめた都市の誕生から滅亡までを描くダンセイニ風の掌編「サルナスの滅亡」をはじめ、過去を探し求める男の遍歴の物語「イラノンの探求」など十三編を収録。さらに巻末には、初期作品五編に加え、ラヴクラフトが書簡に書きとめた夢を抜粋した「夢書簡」、また資料として創作が中断した断片を収めた。【収録作】「サルナスの滅亡」「イラノンの探求」「木」「北極星」「月の湿原」「緑の草原」「眠りの神」「あの男」「忌み嫌われる家」「霊廟」「ファラオとともに幽閉されて」「恐ろしい老人」「霧の高みの不思議な家」「初期作品」「夢書簡」「資料:断片」「作品解題/大瀧啓裕」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
95
翻訳者の大瀧啓裕氏が区切りとして刊行された最終巻。「サルナスの滅亡」は残虐な殺戮でイブを滅亡させたサルナスの勃興と因果応報的な滅亡。滅亡の仕方に何故か、インマウスを連想して仕方ない。しかし、嘗て自分達が惨殺したモノ達の遺骸を捨てた湖で捕れた魚なんて食べるなよ・・・。「恐ろしい老人」や「木」、「月の湿原」、「霊廟」も怖い。「ファラオとともに幽閉されて」はエジプト人は怒らないかな・・・?「夢書簡」で差出人の豪華さに驚愕する以上にあの物語達の源が彼の夢にあったことが衝撃的だ。確かに日本でも同じのはあるけどさ。2017/09/19
Bugsy Malone
65
全集最終巻。著者が他作品の中で 『この物質的でない人生がわたしたちの真の人生であって、水陸からなる球体におけるわたしたちのむなしい存在が、それ自体、二次的なものか、あるいは単なる仮象にすぎないのではないか』という夢に関する考察。巻末の「夢書簡」を読むと、ラヴクラフトは本気でそう思っていたのではないかと考えてしまう。この巻に納められている短編は勿論面白かったが、寧ろラヴクラフトの精神こそが一番興味深いと思える一冊だった。2016/04/07
財布にジャック
61
ラヴクラフト全集の最終巻に相応しく初期作品や夢書簡や書きかけの断片まで網羅されていて嬉しい一冊でした。その中でも「木」「ファラオとともに幽閉されて」が特に印象的でした。全集を読み終えて、本当に偉大な作家であると確信し、もっともっと評価されても良いんじゃないかと思いました。まだラヴクラフトが手を加えた共作作品を集めた別巻は2冊残っているので、引き続き読みたいと思います。2011/01/09
KAZOO
37
全集の最後の巻でこのほかに別巻上下があります。この巻にはどちらかというとクトゥルフがらみの話よりも幻想的なあるいは夢の中のような出来事が多く感じました。また初期の短篇もいくつかありますが、怪奇ものというよりも神話のような感じがしました。夢書簡というのが最後についていましたがこのような夢を見るのかなあという感じでした。2014/09/18
おにく
36
決してつまらなかった訳ではなく、むしろ初期の短編には彼が敬愛する幻想作家の影響が見られたり、夢から着想を得た作品の奇抜さに驚いたりしたものの、いざ読み終わって思い返すと、どの作品も夢のように不確かで、思うように感想が書けない事にもどかしさを覚えました。ラヴクラフトは執筆を通して割りと広い交遊関係を持っていたようですが、子供の頃からそうだった様に、独りでいることが自然体だったように感じられます。そんな夢と孤独を愛した心情が、初期作品には感じられました。 2019/11/14
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