内容説明
怪奇小説の世界に壮麗な大伽藍を築いた鬼才ラヴクラフト。本巻には、作者の分身たるランドルフ・カーターを主人公とする一連の作品、および、それと密接に関わる初期のダンセイニ風掌編を収録し、この稀有な作家の軌跡を明らかにする。猫を愛する読者なら快哉を叫ぶ佳編「ウルタールの猫」、神々の姿を窺わんとする賢者の不敵な企てを描く「蕃神」、巨匠が書き残した最大の冒険小説、古典の伝統をふまえた波瀾万丈の「未知なるカダスを夢に求めて」等、全九編は、諸氏の魂を電撃のごとく震撼するであろう。【収録作】「白い帆船」「ウルタールの猫」「蕃神」「セレファイス」「ランドルフ・カーターの陳述」「名状しがたいもの」「銀の鍵」「銀の鍵の門を越えて」「未知なるカダスを夢に求めて」「作品解題/大瀧啓裕」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
113
「可愛いだけじゃなくて、実は猫の残酷で恐ろしい所も引っ括めて大好き」な猫好きは必読な「ウルタールの猫」。そして作者の分身、ランドルフ・カーターシリーズはダンニセイ風味だけじゃなく、ラブクラフト自身の悪夢も背景にあるのでより、幻想的で恐ろしいものとなっている。特に「銀の鍵の門を超えて」は異界のモノとなった人物に衝撃を受ける。しかし、「未知なるカダスを夢に求めて」で恐ろしくも美しい異界からニューイングランドへ引き戻される予定調和で悪夢から目覚めるようなラストはラブクラフトがピューリタンであったからかな?2017/09/19
Bugsy Malone
58
夢の国の話とランドルフ・カーター物の第6巻。「白い帆船」に始まり猫が怖い「ウルタールの猫」他6編と続いて行き、敢えて執筆順ではなく集大成の様な冒険譚「未知なるカダスを夢に求めて」を最後に読ませる所は流石です。それにしても食屍鬼の義理堅さと夜鬼の忠実さには驚かされた。2016/03/03
財布にジャック
56
あら?今回あまり怖くないです。6冊も読むと怖いのって慣れるものなんでしょうか?いや、そうではないようです。今回の巻のメインのランドルフ・カーターを主人公とする一連の作品は、ホラーというよりはファンタジー要素が強いようです。はらはらドキドキの冒険小説でした。そして、今回は猫の登場する作品が複数あって、猫率が高かったのが嬉しいオマケでした。2010/12/06
KAZOO
46
むかしからこのような感じの小説が好きでした。日本にはない分野の小説ですよね。妖怪とも異なるし、お化けとも違う。別の世界があって、アマゾンの半魚人のような怪物が出てきたり、魚臭い人間がいたり。半分SF的な世界なのでしょう。コミックで読んだりしてラヴクラフト全集に戻ってしばらくぶりに読みましたが、創造力が掻き立てられて自分で怖い世界を作り上げてしまうような感じです。やめられない。2014/09/12
Kircheis
41
★★★☆☆ 6巻の目玉となる、「未知なるカダスを夢に求めて」は、その長さと難解な文体や用語のために何度も読書を中断する羽目になってしまった。内容自体はなかなか面白いのだが、読破には相当の気合が必要。 その他の短編はどれもすっと読めて、特に「セレファイス」の儚さは好みである。 ランドルフ・カーターが主人公の5編では、「ランドルフ・カーターの陳述」と「銀の鍵の門を越えて」が気に入った。 あと、「ウルタールの猫」をはじめ、猫が大活躍するシーンが多く、癒される(作中の猫は超凶暴だけど)。2018/09/13




