内容説明
アベルは死んだ――謎めいた青年カインに頭を吹き飛ばされて。一方、悲嘆に暮れる暇もなく、薔薇十字騎士団の暗躍によって、アルビオン王女であることが明らかになったエステル。もう一人の王位継承者であるメアリは、妹であるエステルの抹殺を決意する。運命はこの姉妹を引き裂かずにおかないのか!? 急展開する『トリ・ブラ』R.O.M.バージョンの第6幕を電子化!──汝、目をそらすことなかれ!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
74
本を読み進めていくうちに最後まで読み終えてしまうことが惜しくなることはないでしょうか?自分にとって本書はその1冊となってしまいました。何度も語ったが、著者が早世してしまったことが真に悔やまれます。本作の終わりが知りたかった。これほど切に願ったことがないくらいの物語の面白さでありました。アベルとケインの決着はどうなったのだろうか?カテリーナさんの病気は…… 教皇庁内の権力争いの行方は?そしてローゼンクロイツ・オルデンとの決着はいかに?コントラ・ムンディ(世界の敵)とは、どういう意味なのか?是非とも知りたい!2016/09/22
藤月はな(灯れ松明の火)
23
立場が違っていたらメアリーとエステルはいい関係になれたことやジェーンやジャック、トッドなど彼女を信頼し、慕ってくれる人が居たのに母の呪詛と認められなかった過去に囚われ、孤独と屈辱を抱えなければいけなかったメアリーが哀しすぎます。自分のために泣くことも否定することも振りきり、出逢って、永遠に分かたれてしまった人々の想いや祈り、願いを携えて聖女、エステルは自分の戦いの場へ立った。強き志を抱く彼女に光あらんことを。本当は凄いアレッサンドロも戦うべき場で戦うことを誓う。また、彼もエステルと再会できますように。2013/04/23
ノリピー大尉
9
玉座への野心に燃えるメアリ。民衆から圧倒的な支持を受けたエステル。王位継承をめぐる動乱がロンディニウムを包み込む。「私たち、どうして姉妹だったのかしらね。赤の他人だったら、きっと私も他の人たちみたいにあなたのことを好きになれたはずなのに」(315ページ) 未完の大作ではあるが、悲劇の姉妹のエピソードは一応の決着。 「あとがき」には「脳内には最後のシーンまでできていますので、あとはそれを活字にするだけ」との著者のメッセージが。 もう誰もそのシーンを知ることができないことが惜しまれる。 2016/12/04
ちゃか
3
「墓標にはなんと名を刻めばいいのですか、兵士〈ソルジャー〉?」。このシリーズは敵も結構魅力的だから困るよなぁ。騎士団の連中も何するかわからない怖さあるけどどこか惹かれるし。いい展開だった。 2012/03/07
朝信
2
多くの死や願いを見て、本当の聖女になるエステルの行く先が気になった。アベルとまた会える日が来てほしいなあ。彼の正体やクルースニクの事も不明だし、惜しまれる。教授や教皇の活躍がすごい。それぞれの考えが変わっていき、これから吸血鬼との共存に繋がればいいと思う。憎しみや偏見ではなく、相手を理解し許す心を持つ事が、人類を変えていくのだろう。2013/04/06