内容説明
ある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。その名も山本政五郎――すなわち幕末から生き延びた、清水の次郎長の子分・小政だというのだが……。表題作「残侠」など、天下の夜盗「天切り松」が六尺四方にしか聞こえぬ闇がたりの声音(こわね)で物語る、義賊一家の縦横無尽の大活躍八編。粋でいなせな怪盗たちが大正モダンの大東京を駆け抜ける、感動の傑作シリーズ第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
179
読友さまの素敵なレビューに感化され、シリーズ途中で止まっていたことを思い出し、積読から引っ張り出した!『おおい、松蔵親分の闇がたりが始まるぞォ!』薄暗い留置場で語られるのは、伝説の盗人松蔵が子供のころ体験した、粋で鯔背な義賊一家の熱き物語!大正ロマン時代の極彩色が映像の如く目に浮かぶ。金持ちから盗んで貧乏人に分け与える彼らは、お偉いさん方からは犯罪者とされるが庶民大衆からは拍手喝采、憧れの的。一本筋の通ったカッコ良さは誰もが惚れずにいられない。後半の松蔵の独白に涙腺崩壊。やはり必読のシリーズですね‼️🙇2024/06/14
いこ
100
①②目細一家の「客人」は、清水の次郎長の子分「清水の小政」だと名乗るが? ③子供の遊び歌にも歌われる「目細の安吉」ってどんな人? ④「百面相の書生常(つね)」普段は帝大生になりきっているが、その変装術たるや! ⑤おこん姐御にストーカーが? ⑥ついに松蔵も黄不動英治に天切り術を習う ⑦松蔵、女郎を水揚げ? ⑧松蔵、あわや破門に? これら八話が夜盗の声音で、時に熱く時に切なく語られる。姐御も兄貴たちも、勿論親分もかっこよすぎる!松蔵の闇がたりは、読む人みんなを目細一家ファンにしてしまう。あなたも是非お仲間に!2024/02/06
たいぱぱ
89
安吉親分も寅兄ぃも黄不動も常兄ぃもおこん姐さんも、みんなみんな粋で鯔背でかっこよくて、そして優しい。どの話も甲乙つけがたいが最終話『春のかたみに』は泣けたな~。僕ならこんな親父は許せないところだが「おのれの血を蔑む人間はただのひとりも生きていけない」なんて言われれば松と同じく膝折ますよ。2話に渡って登場した清水の次郎長一家の「清水の小政」もかっこよかった。『血煙り荒神山』の荒神山は鈴鹿市内にあるんだけど、一度も行ったことがない。今度ゆっくりと行ってみたいと思う。2020/07/20
HIRO1970
88
⭐️⭐️⭐️江戸っ子で曲がった事がでぇきれぇな天切り松は尻の青いわからずやには黙っていられねぇ損な性分でやんすが、お蔭さんでこちとら退屈もしねえで秋の夜長が過ごせたってもんです。今年も今日で師走になりやんしたが次郎さんの闇がたりは寒い晩には尚更合うもんで目が冴えてかえって眠れやしねぇや。2014/12/01
となりのトウシロウ
83
天切り松の闇がたりシリーズ第二弾。清水の次郎長の子分、清水の小政と名乗る渡世人のお話、第一夜、二夜の「残侠」「切れ緒の草鞋」が格好良かった。仁義と礼を重んじる本物の任侠の人。男の中の男、う〜ん、沁みるねぇ。俺は男だぁと吉原の初菊の水揚げと松蔵の筆下ろしの話も初々しい。細目の安一家のみんなから愛されている松蔵が羨ましくなります。2023/02/05