内容説明
「武勇伝なんぞするやつァ、戦をしたうちにへえるものか」二百三高地の激戦を生きのびた男はそうつぶやいた……。シベリア出兵で戦死した兵士の遺族を助ける説教寅の男気を描く表題作「初湯千両」など、華やかな大正ロマンの陰で、時代の大きなうねりに翻弄される庶民に対する、粋でいなせな怪盗たちの物語六編。誇りと信義に命を賭けた目細の安吉一家の大活躍。堂々の傑作シリーズ第三弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐々陽太朗(K.Tsubota)
115
銭金が大事だと云ってもせいぜい命の次だろう。男にゃ命より大事なものがある。いやさ女だって同じだ。通さずばならねえ筋さえ通して生きりゃあ、男は男、女は女だ。最近私は困ったときには心の中でこの言葉を何度も呟くことにしている。「俺は男だ。俺は男だ。俺は・・・」2015/11/15
レアル
107
3巻目。男の色気をビシビシと感じる巻。今まで読んだシリーズよりも一番好きな巻だと思えるのは私が男っぽいからかしら?それでもおこんさんの方が遙かにかっこ良いが。。登場人物の生き方がとても素敵なこのシリーズ。残り1巻、大切に味わいながら読みたい。そして…今年最後のレビューとなりました。読友の皆様には拙いレビューを読んで頂き、またコメント頂きありがとうございました。皆様、良いお年をお迎え下さいませ。2013/12/29
いこ
101
このシリーズは面白すぎて、どんどん読んでしまうのが勿体ない。それで、間に別の本を挟みながらボチボチ読んでいる。そして、感想にも困っている。1巻の感想にも2巻の感想にも「粋でいなせな姐御、兄貴たちが格好いい」と書いてしまった。困ったことに、この3巻もみんな揃って格好いいのだ。素敵なのだ。しかも、どんどんその素敵な女っぷり、男っぷりが上がっているような気がする。あぁ、ネタバレ書きたい位!この巻の解説は、テレビドラマで松蔵を演じた十八代目中村勘三郎さんで、この解説も必読である。こちらも実に粋な解説なのである。2024/02/24
たいぱぱ
88
シリーズ3作目にしてまだ泣かせてくれる。いやむしろ一番泣いたかもしれない。「大楠公の太刀」「道化の恋文」「銀次蔭盃」にはボロボロにやられた。栄治兄ぃ、安吉親分、銀次親分、森鴎外、チャーリーハナ。身分も性格も違うがみんな本物の漢だ。おこん姐さんが夢二に切った啖呵、そして小龍の最後の切り口上は女の中の女。カッコ良過ぎて泣けてくるよ。彼らの彼女らの粋な漢っぷりを人生の一度でいいから自分も発揮したい。初めて読んだ『壬生義士伝』から、浅田さんはどんだけ俺の体内の水分を失くせば気が済むのか?もっと泣かせてもらいます!2020/08/09
HIRO1970
69
⭐️⭐️⭐️感動して泣いてるのかって?イヤァちげぇよ眼に塵がチョイと入ったって言っただろが。莫迦を言っちゃいけない目に一丁字も無いおいらがこんな物はなから解るわきゃねえだろ。自分の名前もろくに書けねぇってのに。2014/12/08