内容説明
堺の薬問屋・小西隆佐は、まだ信長の家臣の1人にすぎない羽柴秀吉に己と一族の将来を賭ける。時は天正、西国の毛利家に対抗するための要となる備前・宇喜多家へ、隆佐は手塩にかけて育て跡継ぎと考えていた18歳の弥九郎を送り込む。わずか10数年後に24万石大名となる小西行長の若かりし日を描いた傑作長編(講談社文庫)。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
12
戦国末期に堺の商人から戦国大名に成り上がった小西行長の波乱に満ちた生涯を、海を題材にした歴史小説家が語る上下巻の戦国一代記。上巻は、戦国末期の趨勢を見極め、後の豊臣秀吉に賭けた堺の商人小西隆佐の命を受け備前の商家に婿入りした小西行長が、毛利と織田の狭間に立つ梟雄宇喜多直家の寵を受け、一介の商人から戦国武将へと変遷し、通説の軟弱な人物とは違い、才智でありながら勇猛な武将へと育つ過程が語られている。いよいよ織豊時代を駆け抜ける小西行長が、下巻でどの様に語られるか楽しみです。2015/11/26
BIN
6
商人の子から戦国大名に成り上がった小西行長を描いた作品。上巻は中国攻めまで。本作としてはタイトル通り海での活躍がメイン。また宇喜多家での活躍が他作品より多い。宇喜多直家の一殺多生の人生はよく描かれている。初陣を経験して戦は酷いことをしり、それにより直家と共感できる部分ができ繋がりが増したように感じました。非常に文章が読みやすく、ぐいぐい読めました。2016/01/21
はらぺこ
5
読み易い。サクサク読める。 小西行長の事は名前しか知らなかったので読んでて楽しかった。2023/10/25
hiyu
5
心地よい文章であった。しかし、作者は小西行長をどのような人間として描きたかったのか、ちょっと気になったかな。宇喜田直家の生き様を見て下巻からいよいよ本領発揮といったところだろうか。期待したい。2017/02/04
東森久利斗
2
戦国時代の終焉、封建社会への転換期、信長と秀吉、両英雄の歴史的快進撃の裏部隊。武から文へ、官吏の時代の到来を予感させる能吏の断頭と類まれな遂行力。豊臣政権の影の立役者。現代社会にも通ずる理解されない、評価されにくい管理部門担当者のジレンマ、華々しい表舞台を支える裏方の苦悩。2022/04/14