内容説明
教会を離れた私が性の遍歴から帰還すると、襲撃を受け障害者となったギー兄さんは、遥かに大きな存在となっていた。しかし、戦闘力を増す農場派と巡礼団の対立が深まり、巨大化と外的緊張の中で分裂の危機を迎える教会のメンバーに、ギー兄さんは最後の告白を行った。そしてその夜「緑の木」が燃えあがる!「神」に極限まで近づき、なお新たな道を求めるライフワーク、完結編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
261
3部作の完結編。小説を読み終わって、これほどの感動に身体が震えたのは実にいつ以来だろう。本編の主人公、ギー兄さんは自分自身を一貫して「繋ぐ者」と自覚していた。すなわち、ヨハネの果たした役割である。しかし、その最後はあたかもイエスのごときものであった。終章はこうなるしかないという終わり方だが、それもまた予言が実現したかのごとくである。物語の全体もまた、サッチャンによって語られたいわば福音書としての体裁を持っていた。すなわち、何度も何読み返されることによって、常に新たな意味が付与される物語がこれなのだ。2012/12/25
かみぶくろ
100
深く静かな感動を得られた。ここまでじっくりと文学を堪能できたのは久しぶり。いずれまた再読したい、自分の読書歴に深く刻まれそうな一冊。2019/11/10
ω
43
かわりの人間が、そのものの人間となる時が来る。そのものの人間とは、「救い主」。 大江が現代の神を模索したという感じだけど、宗教観が希薄なωでも目を輝かせて読めるのは、キャラクターが良いからよねー。ギー兄さんは弱っちいままなのに、尊敬してしまうし縋りたくはなる。 ※お楽しみ的にサッチャンの伊豆での性生活はやっぱりいただけないけど。 まずはゴールした自分を褒めたいw 2025/05/02
燃えつきた棒
43
♫〜 I don't know how t o read this book 〜♫ (ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」《 I Don't Know How To Love Him 》(歌:イヴォンヌ・エリマン)の節で) https://youtu.be/Z1xrCXNmPSw 今、3冊の文庫本を読み終えて、僕にはたった一つの愛も、祈りも、怒りさえも感じられない。2020/03/09
ちぇけら
30
転換や転落とその後の《性的な儀礼》を経たサッチャンは、暗夜につつまれたひとびとが、それぞれの道でそれぞれの救い主に対して集中し・祈るという方向へとすすんでゆく(「神」というものを仮定するならば、その「神」によって方向づけられる)のを体感する。投げつけられた石々によりギー兄さんの受けた犠牲がもたらした大いなる祈りを背に、ひとびとは未来の光を目指してあるき出す大団円。「自分らの酷たらしさを自覚し、自分らの罪を生きていくほかにはないと思う。そしてその罪の償いをしてくれるのは、あの人なのだ。Hallelu!」2019/12/15
-
- 電子書籍
- 「バブリーガール」α MIYABI …
-
- 電子書籍
- プロットからやり直せ【分冊版】 11 …
-
- 電子書籍
- どうやら私の身体は完全無敵のようですね…
-
- 電子書籍
- 目覚めたらプリンセス〈愛と陰謀の王宮Ⅰ…
-
- 電子書籍
- テルミー2 きみをおもうきもち 集英社…