内容説明
【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。
満年齢24歳で世を去った一葉が生前に発表した全小説22編のうち、半井桃水の指導のもと初めて世に問うた処女作『闇桜』から、出世作『大つごもり』に至る12編を発表順に収録。正確で読みやすい本文、作品解題・脚注付。
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字サイズだけを拡大・縮小することはできませんので、予めご了承ください。 試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
5
個人の感想です:B。一葉のデビュー作『闇桜』(1892年、20歳)から始まり、出世作と言われる『うもれ木』、奇跡の14ヶ月の皮切りとなる『おおつごもり』までの12作を掲載。一般的には失敗作と言われているようだが、私は、『闇桜』の隣同士で兄妹のように育った若い二人が恋愛感情を意識するきっかけとなった摩利支天デートでの胸がキュンキュンするようなやり取り、ラストの千代のひとこと等、がとても好きな作品です。この全集は脚注も充実し、なによりも会話文に「 」の記号が付いているため、大変読みやすくなっている。2016/04/25
井月 奎(いづき けい)
5
「琴の音」を読みました。一葉作品ではほとんど見ることのできない「めでたしめでたし」です。この作品あたりから一葉は文筆をお金を稼ぐためよりも、芸術作品として「完全無瑕(かんぜんむか)の一美人をつくらんの外なく」と思い至ったそうであり、その覚悟を決めた一葉の筆はまさに冴えわたる。和歌を自分の文と混然一体として、その味わいがまた絶妙である。漱石や紅葉が漢文を自身のものとしていたように、一葉は三十一文字を自らの血肉としていたのである。樋口一葉はその文をもち永遠の命を得たのだ。彼女が好んだ月の光と同じように。2015/07/11