内容説明
東都学院大学教授・西城豊士は、軽井沢の別荘にルポライター・天知昌二郎をはじめ、１３人の男女を招待した。西城はここで、娘・富士子の婚約者を公表するつもりでいた。が、翌朝、西城夫妻は離れの地下室で服毒死体となって発見された。床に遺されたＷＳの文字……。 鬼才・笹沢左保が、はじめて密室トリックに挑んだ本格推理秀作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
40
「有栖川有栖の密室大図鑑」紹介本。密室の中、女優の両親が毒を飲んで死亡。婚約者候補達が(不謹慎ながら)女優と結婚するために密室の死の謎に挑む推理合戦開幕。有栖川さんの紹介同様ロマンチックあふるる心中説、陰湿な本性がかいまみえる他殺説が並ぶ中、殺人者はかなり早い段階で見当を付けてたのに密室トリック(とりわけ毒殺にした理由)が明かされた時「やられた～」と直に口にするところだった(確かにあの人物なら可能だ)。段階的に説を挙げたゆえの幕引きや物語の運びといいこれは名作ですね。2020/09/23
はんげつ
7
また悪魔的な構図を仕掛けてきやがったな笹沢左保ォ！ 人間を使い倒すような密室トリックやその方法をとった動機、殺人の動機などなどもとてつもない凄まじさで読みながら死んでしまったんだけど、殺害行動への直接のトリガーとなった理由が華やかで怖ろしい。求婚の密室って雑なタイトルだなぁと思ってたのが、結末を引き立たせるためにあえてこうしていたのかと感動とともに納得した次第。笹沢左保すげえなぁ、笹沢左保2019/06/04
bluemint
6
とても丁寧に書かれている。結婚相手を親の選んだ2人のうちから一人選ばなければならない、など古く感じるところもあるが、密室の謎・実行犯・推理合戦など意外でいて納得できるストーリーだった。特にダイイングメッセージをそのように書かなければならなかった被害者の心情には強く打たれた。今読んでも密室物の傑作だと思う。2018/09/27
トトリベ
6
密室での発見された夫婦の服毒死体。彼らは自殺したのか、はたまた殺されたのか。「いかにして密室で死んだのか」という密室モノにストレートに取り組んだ作品です。密室の真相は無茶な機械仕掛けのものではなく、すとんと腑に落ちる古典的なもので、個人的にはそこが好印象。また、地下室という場所、密室の仕掛け、そして事件の真相が非常に見事につながっています。謎解きの際にはほつれた糸がほどけるような快感を味わえました。つながっている故に真相の見当が付きやすく、少し残念に思うところもありますが、密室モノの傑作だと思います。2014/01/25
アールグレイ
3
密室で発見される夫婦の遺体、心中か他殺か、ダイイングメッセージの謎。婚約者の２人が考えうる仮説を挙げて否定され、挙げて否定され、という王道。説得力のある密室、その人以外が犯人とはなりえないというピースがはまる感じが良いです2016/04/17
