ちくま文庫<br> オリヴァー・トゥイスト(下)

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ちくま文庫
オリヴァー・トゥイスト(下)

  • ISBN:9784480025005

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内容説明

主人公の孤児オリヴァーの運命の星は光を失ったまま、酷薄さを増していく。盗賊団一味のビル・サイクスに従って強盗に連れ出された夜、オリヴァーは瀕死の重傷を負い、仲間に置き去りにされる。かろうじて篤志なメイリー夫人に救われた彼の運命はさらに二転三転して……。ユーモア作家として不動の地位を確立していたディケンズが、持ち前のジャーナリスト的視点で挑戦した初の社会小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

350
下巻ではオリヴァーがすっかり安全圏にいるために登場の場面もやや少ない。それだけ悪漢たちの暗躍に費やされているのだが、その観点からは上下巻ともに一種のピカレスク小説であるとも言える。ただし、ここに登場する悪人たちは、モンクスやサイクス、あるいはフェイギンをはじめいずれもなんだか情けない「悪」である。颯爽とした「悪」を演じてみせることがない。すなわち、そこがディケンズの新しさであり、彼らは悪人であるが、それは社会が生み出した側面もあることを描き出したのであり、そのことが最も端的に表出されるのがナンシーである。2022/12/10

NAO

25
金持ちの老人を助けたことで老人の家で暮らすことになったオリヴァー。やっと幸せになれたかに見えたが、なぜか盗賊団はオリヴァーを取り返そうと躍起になる。話を読み進めていくうちに、納得がいかなかった盗賊団の動きの理由も分かってきて、話はどんどん佳境へ。主人公のオリヴァーはとことん善人として描かれているが、運命のちょっとしたいたずらや自らの心がけの悪さで堕ちていく人々がリアルに描かれているのがいい。悪人にもいろんなパターンがあるというのは、何かと考えさせられる。2015/08/07

Francis

15
下巻は悲惨な道まっしぐらだった上巻と変わり、ようやくオリヴァーにも運が巡ってきて最後はめでたくハッピーエンド。オリヴァーよりもサイクス、フェイギンらの悪党どもの方が活躍ぶりが目立つ。そして当時のロンドン、あるいは救貧院、裁判所、警察の様子が上手く描写されている。この辺りがこの小説を単純な勧善懲悪物語としてでなく、近代小説の名作にしている理由。2018/09/20

那由田 忠

14
善悪のはっきりした話なんだけれど、19世紀前半のイギリスの救民制の矛盾や当時の人々の生活を描いたという意味で意味があるのだろう。でも、上巻の方が面白かった。下巻となると、ハッピーエンド的な雰囲気が強まって、先が見えるようでね。ただし、サイクスがナンシーを殺した後に陥る精神状態の描写がすごいと思った。2016/05/22

ゆーかり

14
テレビの無い時代にこんなに面白い物語が連載されたら、きっと翌月まで待ちきれなかった事だろう。善人、悪人、権力を振りかざす人、弱者、貧乏人。19世紀のイギリス社会制度(やその矛盾への批判)、ロンドンの人々の生活が生き生きと描かれている。時代劇のような勧善懲悪かもしれないけれどハッピーエンドが良いのです。それとやはり何と言っても独特で印象的な登場人物たち。[ガーディアン必読1000]2015/09/22

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