内容説明
平氏一門の横暴に抗して立った源氏最後の反乱は失敗に終わる。この平治の乱に初陣した13歳の頼朝は、落ち武者となって吹雪の近江路をさまよう。父義朝は非業の死、兄の義平も捕らわれて斬られた。頼朝も捕まり京へ送られる。源氏一統の血を残らず絶やし、後顧の憂いを除かんとする平清盛の断は、むろん斬首……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
北風
28
山岡荘八の源頼朝、1巻は保元の乱終結後、平治の乱勃発から、父義朝の死と、伊豆に配流されるまで。個人的に頼朝って、ウェットなイメージの義経と違い、クールなイメージだったんですが、山岡版では徹底してクールな少年に描かれていて、すごく感情移入してしまいます。ドン底まで落とされる源氏ですがこのあとの展開が(知ってるとはいえ)楽しみです♪2015/02/13
新父帰る
5
平治の乱の初陣戦。頼朝、源太の産着をまとい、13歳にして源氏の総領となった。逃避行途上の馬眠は余りにも有名な話。さて、著者は、長田父子の裏切りを偶然に知った義朝を描き、命声をすることなく、その運命に任せる義朝を我欲の果てと断罪する。生への執着を失って行く過程が、何故か悲しい。登場人物の細やかな感情表現が読んでて、とても心を揺さぶられる。読んだ後の余韻に浸れる、今の自分が幸せに思う。素晴らしい作品だ。2017/02/28
氷柱
4
665作目。1月13日から。父や兄弟がやられてしまい、主人公が孤独になるところまでが描かれる。一冊丸々を使って保元・平治の乱が描かれていて、かなり濃密な描写に驚かされる。特にページを割かれていたのは父や兄弟の最期の部分。力が入っている分、ページをめくる手が止まらなかった。全三巻であることを思うと待ち受ける巻の描写もかなり濃いものになっていることが容易に想像できる。頼朝を取り巻く環境について言及された一巻となっていたが、残る巻は主観からの情報も増えることであろう。2021/01/16
ひで
3
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の参考書として手に取りました。山岡荘八著の「源頼朝」の第1巻。この巻の多くは1159年の「平治の乱」のことについて割かれていた。頼朝の父義朝と兄たち、そして初陣した13歳の頼朝。彼らは平家との戦に破れ、再起を図るために東国へ逃れようと試みる。しかし、追ってに道を塞がれ何度も苦渋を味わうことになる。「平治の乱」は名前くらいしか知らなかったが、こんな過酷な人間模様が描かれていたとは…2022/04/24
万次郎
3
源氏の逃亡劇。ここで平氏が根絶やしにしなかった事を「油断」と取るか、「人情」と取るか?いずれにせよ、後に立場を逆転した源氏は、自分達を教訓に、平氏を徹底的に殺害した。この当時の感覚は、今と大きく異なる。2012/08/28