内容説明
吉里吉里国の独立に日本国政府は仰天、自衛隊が出動し、国民の眼はテレビに釘付けとなった。防衛同好会が陸と空から不法侵入者を監視する吉里吉里国では、木炭バスを改造した「国会議事堂車」が国内を巡回、人々は吉里吉里語を話し、経済は金本位制にして完全な自給自足体制。独立を認めない日本国政府の妨害に対し、彼らは奇想天外な切札を駆使して次々に難局を切り抜けていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てち
91
上巻同様、実にくだらなくて面白い。中巻は吉里吉里国を媒介として自衛隊、憲法改正、医療等のあり方が書かれている。娯楽だけではなく、国家が抱えている問題について井上氏の考え方が書かれている作品である。エンタメ性と文学性の両者を兼ね備える傑作である。2020/08/08
レアル
73
ただただ面白い。中巻も下ネタあり、ブラックユーモアありですっ飛んだ構成で突き進んでいく物語。その一方で自衛隊や国防、タックスヘイブンなどの問題を物語の進行に合わせて絡ませている。この本は昭和60年に発行されたもの。今読んでも十分通じる問題ばかりで「色あせないなぁ」なんて真面目に考えながら読んでみたりもするが、こちらそういった問題提起物語として読むよりも、ドタバタ劇を楽しみたい。ズーズー弁ならぬ吉里吉里語にも慣れてきたし、男としてどこか物足りない古橋のその後も気になる。下巻へ!2016/01/27
優希
57
相変わらずくだらないのですが、その中には著者の考えている日本国家が抱えている問題が織り込まれているように思います。エンタメ文学の枠を超えた作品だと感じました。2021/02/01
ともくん
55
真面目なのだか、巫山戯ているのか分からない物語。 だが、不思議と惹き込まれてしまう。 吉里吉里語が、読みにくいのだが、癖になる。 下巻で、この物語がどういう、結末を迎えるのか非常に楽しみである。2020/06/04
いちろく
47
国家として日本からの独立を目論む寒村を舞台にしたSF作品。上巻に続き下ネタをはじめとする阿呆なネタの数々で作品全体が緩い。それが、取り扱っているテーマが重厚であるはずなのに、手に取りやすい内容に繋がっている印象。それでも、ネタに依存せず1つの骨太な作品として確立している所が魅力的に映る。これまでの内容で、日本SF大賞をはじめとする数々の賞に選ばれているのも、読者の1人として十二分に納得出来ている。どの様に物語を〆るのか?下巻へ。2018/03/30