内容説明
ある六月上旬の早朝、上野発青森行急行「十和田3号」を一ノ関近くの赤壁で緊急停車させた男たちがいた。「あんだ旅券ば持って居だが」。実にこの日午前六時、東北の一寒村吉里吉里国は突如日本からの分離独立を宣言したのだった。政治に、経済に、農業に医学に言語に……大国日本のかかえる問題を鮮やかに撃つおかしくも感動的な新国家。日本SF大賞、読売文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
てち
126
傑作だ。荒唐無稽で実にくだらないが、ものすごく面白い。ただ難を言えば、少し長すぎる。なかなか先に進んでくれない。しかし、それを差し引いても読む価値はこの本にはある。2020/07/09
サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥
70
読んだのは学生の頃。東北の寒村が突如として日本から独立を宣言し「吉里吉里国」となるという話。第2回の日本SF大賞作品でもある。これがSFなの?って言うことは置いといて、荒唐無稽な設定であり、上中下巻という超大作なのにぐんぐんと引き込まれていったのを覚えている。単に荒唐無稽な話というだけでなく、当時抱える地方自治の問題なども風刺的に絡められていたからだろう。その後の作品である村上龍氏の「希望の国のエクソダス」に通じるものがあると思う。★★★★
ともくん
64
空前絶後。 奇想天外。 抱腹絶倒。 前代未聞。 なんと言い表せばいいのか分からない。 日本から独立した、吉里吉里国。 日本の中にあって、日本ではない国。 吉里吉里国で繰り広げられる、悲喜劇が幕を開ける。2020/05/27
優希
63
日本SF大賞、読売文学賞受賞作。くだらないけれど面白かったです。切り口が斬新だったからでしょうか。続きも読みます。2021/02/01
saga
62
【古書】初ひさしが本書。なぜか吉里吉里というワードが脳内に残っていて、ネット古本屋にて入手。売れない作家・古橋健二を狂言回しにして、吉里吉里国独立の瞬間から、日本国を相手取った独立闘争をユーモラスに描く。<引用>日本国の国益だが言う物、もう真平……『国益の為だ、増産すろ!』『国益の為だ、減反すろ!』……ズーズー弁で訴えかける国の横暴がひしひしと伝わる。話が横道に逸れることが多く、上巻は午前6時の独立から半日程度しか経っていない。冗長感は否めないが、作品の世界観を理解する役には立っている。2024/08/05




