内容説明
「俺ばこの町で一番頭が悪く、なんのコネやツテもなく、やる気も金もないクソみたいな道具屋だ」。伝説のテキストサイト運営人にして破格の経歴をもつ古道具屋店主による、金と汗と汚物と愛にまみれた痛快“冒険”私小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masa
44
BPMの高い暴言に確かな温もりを感じる。その正体が知りたくてのめり込むように読んだ。そこに在ったのは、偽りのなさだ。誰もが、自分を騙して生きている。多くの場合、そのことに無自覚で気がつくことすらなかったり、気がついたとしても仕方がないことだと諦めている。そうしなければ、この世を生き抜くことなどできないと。だけど誰もお前のことなど知りたくもない。社会は個を蔑ろにする。ありのままの他人に干渉しない代わりに、自分のルールで生きればいい。著者の自分にだけは嘘をつかない生き様に、魂の咆哮に、きっと救われる人がいる。2023/12/09
くさてる
18
Twitterでの語りが面白くフォローしていたけれど、あの「スヰス」の人だと知って驚愕。読んでた!書籍で読みたいなと思っていたので、この本は嬉しい。内容は、ハードボイルドで破滅的で、でもどこかユーモアがある古道具の買取の業務日誌に漂う死の匂い。濃厚な内容だけど、胸やけせずに読める巧さで、もっと読みたい。お勧めです。2023/10/19
zirou1984
12
無頼で無骨な文章はどうしてもこうも面白いのか。否、無頼で無骨に振る舞おうとも、己の倫理に正直すぎるあまりに日常を疑問符だらけで過ごさずにはいられない文章とはどうしてこうも面白いのか。矢鱈と口の悪さを自称しながらも、悪態の裏にある思考や理念をこうも明け透けに描かれてしまうとそこに惹かれずにはいられない。俺はクソな人間だ、だから俺自身よりも大切なものはあるという価値観の元から出てくる倫理は美しいし、性根が歪んでない人間の悪態には魅力がある。言葉には、泥を花に変えてしまう魔法がある2024/01/08
島の猫
6
本屋さんでおすすめしたもらったもの。久しぶりに一日で読み切る本出会った。怒涛のスピード感、軽快でシンプルな悪態。笑 彼の心の声に思わず吹き出す。外で読んでいたら不審がられていただろう。世界は知らない。でも自分で作ったルールは守るようにしている。こんなクソみたいな世界を気に入っている。この日は国語の教師に「古典や自分の枠外のものに触れて、いろんな人がいることを読書から学んでいくといい」という言葉をもらった直後だった。まさに相応しいセレンディピティ。そうこんな世界だから私は少しでも光るものを探してるんだ。2023/11/25
ももも6464
4
事実は小説よりも奇なり、ノンフィクションなのか創作なのか。 そもそも筆者が嘘みたいな方で良く分からない。 すごく良い、ジジイがいっぱい出てきてすごく良い。2024/08/17