内容説明
一揆の首謀者として、父親を磔台に送った又八とお雅兄妹、難波の大店を廃嫡された空翔、親殺しの汚名を負った嘉六、お家騒動から、無実の朋輩を切り捨てた定之介…。痛恨の過去とともに、災厄の巷をはいずる「ふつうの人々」。彼らに、浄土を目指す渡海がもたらしたもの、それは観音との出会いか、それとも無意味な死を死んだ者たちへの鎮魂か。時は、元禄・宝永年間、富士山噴火、度重なる大地震の巷から船出した、みたびの渡海顛末。
著者等紹介
中嶋隆[ナカジマタカシ]
1952年、長野県生まれ。国文学者、専門は西鶴を中心とする近世文学。早稲田大学教授。文芸専門書・読み物など多数。「古典への招待」(NHK教育テレビ)で講師を務める。2007年、『郭の与右衛門控え帳』で作家デビュー、この作品は第8回小学館文庫小説賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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