目次
津田左右吉博士のこと
建国の事情と万世一系の思想(上代における国家統一の情勢;万世一系の皇室という観念の生じまた発達した歴史的事情)
古事記及び日本書紀の研究(総論;新羅に関する物語;クマソ征討の物語;東国及びエミシに関する物語;皇子分封の物語 ほか)
著者等紹介
津田左右吉[ツダソウキチ]
明治6年、岐阜県に生まれる。明治23年、東京専門学校(現早稲田大学)に編入学し翌年卒業、中学校の教員を務めるかたわら東洋史学の泰斗・白鳥庫吉の指導を受け「歴史は本職」との思いに至る。その後、文献批判による科学的な歴史研究に挑み、その成果として数々の著作を世に送り出し、大正9年、早稲田大学教授に就いた。昭和14年には東京帝国大学の講師も兼任するが、いわゆる津田事件により学究活動の中断を余儀なくされる。戦後、早稲田大学総長に選出されるも固辞、ふたたび研究に没頭し、昭和36年、東京の自宅で死去、享年88(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はっせー
89
平成最後の本でした! 内容はかなり難しかった! 津田左右吉さんのこの著書は古事記や日本書紀の内容が本当の歴史だったかどうかを検証するものである。津田左右吉さんは天皇制を否定したりしているのではなく、純粋に古事記や日本書紀の話がどのような構成になっていたりするかを研究しているのである。内容の精査については様々な歴史書を比較して言葉遣いの変化や時間軸の違いなどを丹念に調べられていた。古事記 日本書紀をまだ読んだことないので読んでみようと思った!2019/04/30
犬養三千代
8
☆☆☆☆☆読み難いのは言葉遣いだけではない。この内容で不敬とされた時代の恐ろしさを感じる。、今の研究では、はてな?と思うこともある。しかし先鞭をつけた研究。2024/07/11
ふたば
7
研究者として、研究対象に向かう姿勢に感銘を受ける。記紀そのもの、関連する文献の膨大な情報を整理し、はるか古代の日本人が何を考え、何を残したくて記紀を編纂したのか、日本の国と周辺国との状況や関係を正しく把握することが目的であったと素人目にもわかる。戦時中、これが発禁となり、天皇を侮辱したとして裁判にまでなっていたとはにわかには信じがたい。現人神であった天皇が同じ日本人ということを看破したことが、神格化されていた天皇を侮辱したということか。20世紀にもなって、まだ神話をそのままに信じていたことが驚きだ。2021/10/14
てっちゃん
5
古事記や日本書紀を「歴史ではなくして物語だ」と言っただけで、社会から抹殺されたという歴史は二度と繰り返したくない。よく読めば、津田は古事記や日本書紀を決して否定している訳ではなく、日本の文化として評価していたんだね。2018/07/04
がんちゃん
4
さまざまな面からその正当性や妥当性を客観的な目で検討する姿勢こそがまさに社会科学であり学問ってことなんだよな。ところが、そこから導き出された結論が気にくわないからって本書を禁書にしてしまった戦前の日本。人は見たいものしか見ないというけど、国家がそれを率先してやっちゃ学問も何も成り立たなくなってしまう。検証することなしに信じたいこと以外は認めないっていうトンデモ本的な思考はほんとやめなきゃ。まして自分がそう思い込みたい意見と違うから弾圧しちゃえっていうのも絶対にしちゃいけませんよね。2018/09/07