1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
43
乳児死亡率という現在でいうビッグデータ分析によりソ連の崩壊を予言した、他にソ連の崩壊を予言したのは小室直樹、という謳い文句だが、期待するような分析系の本ではない。共産主義、マルクス主義批判が展開されているが、データが多く使われている印象はない。元共産主義者から共産主義の問題点に気付き批判者に転じた例は日本にも多くあり、彼らの批判は近親憎悪ゆえに執拗で、身内ゆえの弱点は熟知している。著者もまたそのような感じで、結論ありきのため退屈に感じるかも知れない。2025/03/20
nbhd
17
70年代半ばにソ連の崩壊を予言したっていうトッドさんの初期研究がこの本だ。500ページもあって、ぶ厚すぎるので気になるところと解説を拾い読み、で、「予言」の箇所を見っけた→[p.411]「保健衛生条件の退行と変死死亡率の上昇は、まさに危機の最初の顕現に他ならないということは、今からすでに断言することができる。未来学というのは、難しい技術である。とはいえ、ソ連については、事は『予言』の問題ではなく、『観察』の問題になっている。世界最初の共産主義システムの崩壊は、すでに始まっている」(1978年)。2023/08/22
壱萬参仟縁
6
図書館本1976年初出の邦訳。「共産主義は長く、ファシズムは短い」の節(101頁~)に目が留まる。ジャスミン革命やアラブの春が東伝していったが、何十年も独裁者が君臨していたのは共通していた。独裁の長期化原因が問われる部分。昨日読んだ4月1日号TIME誌にはハンガリーのユダヤ人の苦悶が書かれていた。本著では第1部第2章にハンガリー登場。革命は初動的富裕化局面で生じる傾向(141頁)。ほほぅ。ハンガリーでは文学部学生が社会学学徒のためにP.ブルデューを邦訳(218頁)。当該自殺率は革命期で最低値(274頁)。2013/03/27
takao
2
1976年25歳の処女作。ソ連の崩壊を予言 県立 p.51 西ヨーロッパでは、警官の定員数と社会・政治的緊張の間には極めて厳密な相関関係を観察することができる。多いのはフランス、イタリア、少ないのはスカンジナビア諸国。 2022/12/30
A.Sakurai
1
ソ連崩壊時にそれを予言していたとして有名になった本.当時から聞き知っていたが邦訳がこれまで無かった.ソ連については素人の歴史人口学者がソ連の乳幼児死亡率を見て実体に気が付き,一挙に書いたという.社会構造の分析内容はそれほど突飛ではなく,ソ連に興味を持っているものなら当時であっても常識的なものだ.自分でもこう捉えていたなぁ,と思い出す.ただし,モデル化と統計を突き合わせると論理的に破局まで行き着くという点が新鮮.★読んでいると北朝鮮を彷彿とさせる部分が非常に多い.国内的に政権が危機に瀕しているのだと分かる.2013/04/27