内容説明
ひとはなぜ物語を語る/書くのか。ひとはなぜ物語を聞く/読むのか―。広漠たる「物語」の地平を、「物語的世界」と「語りの点」という視点から鮮やかに照らし出す。鶴屋南北『盟三五大切』と藤沢周平『蝉しぐれ』をモティーフとして自在に奏でられる、物語をめぐるふたつの綺想曲。
目次
「物語的世界」あるいは歌舞伎『盟三五大切』と映画『修羅』(台本と演劇テクスト;物語的世界(2)
物語的世界と歌舞伎の「世界」)
「語りの点」あるいは『蝉しぐれ』変奏曲(『蝉しぐれ』による『蝉しぐれ』;全体の構成―教養小説;行為の動因―エトス的/パトス的;「蝉しぐれ」―回帰するモティーフ ほか)
著者等紹介
淺沼圭司[アサヌマケイジ]
1930年、岩手県に生まれる。東京大学大学院修士課程修了。成城大学名誉教授。専攻、美学、映画理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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筋書屋虫六
1
鶴屋南北のお芝居も藤沢周平作品も日頃から関心を寄せている分野なので思わずポチリ(自爆)。第一部の南北の「盟三五大切」についての論は、フランス哲学特有の迂遠な論法と自分の読解力のつたなさを棚に上げてもあまり成功しているようには感じませんでした。歌舞伎独自の世界観や約束事を一般化するための断り書きが問題の本質をどんどん遠ざけているような…。僭越ながら苦戦の程が偲ばれました。比べると第2部の「蝉しぐれ」の方は分かりやすくて共感もでき、再読したくなりました。蛇足_2作品に共通の人物は最近では市川染五郎丈ですね。笑2010/10/11