内容説明
本書は、在日韓国・朝鮮人の国籍と人権にかかわる問題を、戦後その基本枠組を規定した一九五二年の民事局長通達に遡り、同問題を日本の戦前から戦後の歴史の文脈に位置づけると共に、戦後における英仏からの植民地の独立やドイツからのオーストリア独立回復など、国際的視野の下に置き、その問題性を浮かび上がらせ、在日韓国・朝鮮人も共有している日本社会のさまざまな意識の問題性を明らかにしようとするものである。
目次
序章 問題の所在
第1章 サンフランシスコ平和条約発効に伴う日本国籍喪失の論理(通達四三八号と一九六一年大法廷判決;行政、判例、多数説の論理構造)
第2章 領土変更と国籍変更の関係―歴史的分析(領土「割譲」に伴う国籍変更―領域内居住性を基準とする安定的な国際慣行の時代;居住主義の動揺;民族自決と人権の枠組による国籍処理)
第3章 日朝関係における国籍・入管法制(韓国併合期;八・一五から一九五二年体制へ)
第4章 結び(現行国際法における国籍の観念;在日朝鮮人の法的地位)
著者等紹介
大沼保昭[オオヌマヤスアキ]
東京大学大学院法学政治学研究科教授(国際法専攻)。1970年東京大学法学部卒業
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