内容説明
シンプルなストーリーに隠された意図と背景には、人間っぽさと社会風刺が、ユーモアたっぷりの皮肉とともに、イタリアならではの情景で描かれている。ロダーリ、カルヴィーノを生んだイタリアから届いた25篇のファンタジーア!
著者等紹介
ピウミーニ,ロベルト[ピウミーニ,ロベルト] [Piumini,Roberto]
1947年、北イタリアの小邑エードロ(ブレッシャ県)に生まれる。教師、俳優などの職業を経て、78年に作家としてデビュー
長野徹[ナガノトオル]
1962年、山口県に生まれる。東京大学文学部卒業、同大学院修了。イタリア文学研究者・翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夏
27
ピウミーニ作品は初読。この作品には表題作を含む25の掌編&短編が収録されている。作者は児童文学を専門にしているそう。この作品も児童文学として読むか、大人のための寓話として読むかというのが迷いどころ。わたしは作者が児童文学作家という前提を頭に入れていなかったので、普通に寓話として読んだ。作者は「言葉の魔術師」と呼ばれることもあるらしい。イタリア語を解する人が作者の作品を原文で読んだら、日本語で読むよりももっと面白いのではないかと思う。星3.5。2024/05/13
くみ
20
イタリアの現代作家さん。一見、児童書のようですが大人のためのショートストーリー集だと思いました。読んでいて思わずうなったり笑ったり、ちょっと立ち止まってみたりする。そして、本を読んでこんなに五感を刺激されたの初めてです。「感謝日」の死刑目前の男に差し出した味わい、肌触り、香りの贈り物、「コンパリコの扇子」のあおいだ時の音、香り、そして「五人のりんご」では正に五感が主人公!その心地よい香りが漂ってくるようでこちらもつられて深呼吸。体も気持ちもほぐれるようで豊かな時間だったなあと思います。2018/09/10
M H
14
「はじめて出逢う世界のおはなし」(東宣出版)の一冊。これはイタリアの作家ピウミーニの作品で、既に邦訳がたくさんあるとのこと。信号機も水平線も五感(!)もものを考える25編。大らかな寓話になっていて、クスッと笑えるのが多い。感謝を捧げないと死刑になる日の顚末がさわやかな「感謝日」が良かった。このレーベル、まだ2冊目しか読んでないけど、好きかも。2019/07/07
きゅー
13
イタリアの児童作家による作品集。同じイタリアのジャンニ・ロダーリを思い出させるような不思議な物語が集められている。彼の作品の魅力は訳者解説にも書かれているように、意想外な二つのものが出会う愉しさにあり、あるいは、あり得ないシチュエーションにおける人々の反応にある。メガネを掛けた足が好き勝手に歩きまわり、ボクシングのゴングがワルツを奏で、トウモロコシの中の老人は不老となる。それらの「あり得なさ」のなかで、ごくごく普通に人々は会話を続ける。物語のなかで、あるいは物語のあいだにある亀裂、ギャップを愉しむ一冊。2015/03/07
びっぐすとん
10
図書館本。初読作家さん。「はじめて出逢う世界のおはなし」シリーズ。このシリーズでいろんな国の作品に触れたが、お国柄ってやっぱりあるのかな。寓話のようなお話の中に陽気さが感じられる。皮肉な内容でもどこかカラッとしていて、フィンランドやオーストリアの作品より軽やかだった。2017/11/14