内容説明
鎌倉公方足利成氏と関東管領上杉氏が争いあった享徳の乱。上杉氏の重臣太田道灌の活躍で乱は鎮静に向かうが、道灌が謀殺されたのち上杉氏も分裂し、内乱状況が続くことになる。十五世紀後半の関東戦乱の歴史を描く。江戸城、山吹の里伝説、古河公方、石神井城、江古田原の戦い、鉢形城…。文武の名将の活躍と悲劇。関東の戦国前夜の争乱!
目次
「山吹の里」伝説と八犬伝―プロローグ
1 関東大乱の背景
2 内乱のはじまり
3 長期化する対陣
4 長尾景春の反乱
5 太田道灌の力量
6 継続する内乱状況
道灌の時代の特質―エピローグ
著者等紹介
山田邦明[ヤマダクニアキ]
1957年新潟県に生まれる。1984年東京大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、愛知大学教授博士(文学)(東京大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぼちぼちいこか
13
15世紀から16世紀初期までの室町時代の関東甲信越地方の実態を書いている。将軍家から公方が派遣され関東を統治していたが下克上が台頭してからそのシステムが崩壊していく。足利氏、上杉氏の骨肉の争いが続く。太田道灌はその時代に活躍した人物。司馬遼太郎の「箱根の坂」の主人公、伊勢宗瑞も絡んでいた。面白かったのは長尾景春。この人物は読んでいてまたお前かと思うほど湧いて出てくる。まるでコメディみたいだがシブトイ執念に脱帽。著者がこの時代は勝者がいないと書いていたが、まさにその通り。敗者の時代だった。2019/02/21
たなかか
8
室町初期から北条の勃興までの関東の混乱をまとめている。いやー複雑。上杉性の人ですぎでイマイチ頭入らんかったけど 鎌倉公方 関東管領の事は随分理解できた、勝ちそで勝てない。負けても滅ばない人たちが多かったということなのね2018/01/07
青雲空
7
面白い! 都鄙和睦でたたまず、その後まで筆を伸ばしてくれたおかげで、享徳の乱の勝者は結局おらず、皆が敗者だったように思えた。 勝者がいないと述べたが、家が存続したという一点でみれば、足利公方家と太田家は江戸時代まで残った(他は滅んだ)。しかし、勝者としてはあまりにささやか。結局ヒーローがはっきりしないが故に、歴史物語として人気を欠く理由になってしまったように思える。 複雑で一見地味である噛めば噛むほど味がしてくる魅力がある時代。「そして誰もいなくなった」の寂寥感こそ、この時代の最大の魅力だと思える。2024/05/06
スー
7
太田道灌の事が知りたくて読んだのだが、半分位は享徳の乱に費やされていた。道灌の資料が少ないためか、人間性までは踏み込めていないが、文武両道で有能だが、感情的になりやすいようで、殺された理由は今までは山内上杉が扇谷上杉が強力に成るのを防ぐ為に道灌が裏切ろうとしていると讒言した為と思っていたが本書では別の説がとられている。其にしても、戦乱の連続で、敵が弱くなると内部分裂をおこして又戦争になる。人間の性なのか?憂鬱になってしまう。この本のお陰で、この時代の関東の状況がスッキリしました。2016/01/05
のぶさん
5
上杉禅秀の乱、永享の乱、享徳の乱のあと、北条早雲の台頭まで、高校教科書ではその間関東地方の歴史は空白になる。ところが実際はなんともグダグダした戦乱の世が続き、その間に北条や上杉が登場する舞台が醸成される。この時代は領国が確立していない(崩壊している)のか、武将が関東一円を転戦する感じだ。ところで、太田道灌の系譜が示されるが、一番有名な道灌の名前がわかっていないのはなぜなんだろう。2016/09/18
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