内容説明
「エボラ・ザイール」―この殺人ウイルスは自然破壊に対して熱帯雨林が人類に放った刺客なのか。アメリカ陸軍ウイルス・スワット・チームの決死の防御作戦を描く渾身のノンフィクション。
目次
第2部 モンキー・ハウス
第3部 制圧
第4部 キタム洞窟
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
p.ntsk
49
下巻は主に実際にあったレストン事件のウイルス制圧の模様。ワシントン近郊のモンキー・ハウスのサルからエボラとおぼしきフィロウイルスが検出される。秘密裏に展開された軍事バイオハザード作戦。20年前に刊行されたこの本を今読むと本の中で暗示されていた悪夢のシナリオが現実に展開しようとしているかのようです。人類とウイルスの戦い(あるいは共生)はこれからも続いていくと思います。単に医学的な問題ではなく異なる文化・風習を含んだ難しい問題だけに全世界的な取り組みが必要だとあらためて感じました。2014/11/24
ntahima
47
検疫所のサルを死に追いやったものの正体が、致死率90%のエボラ・ザイールらしいということが明らかになる。この後、陸軍主導で施設内のサルの安楽死という、地味で気の滅入る作業が延々と続けられる。当初は周辺への深刻な汚染が苦慮されるが、ことは『アンドロメダ病原体』を思わす意外な結末を迎える。科学・ノンフィクション・翻訳という三重苦を物ともしない抜群のリーダビリティに脱帽。巨匠A.C.クラークが『これにはS.キングもM.クライトンも歯が立つまい』とコメントしたらしいが『あなたはどうなの?』と言いたい位の出来栄え。2012/03/11
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
34
感想は上巻に記載
パトラッシュ
32
(上巻から続く)米軍のウイルス制圧作戦は成功し読者もひと息つくが、最後にエボラ発生地と思われるケニアの洞窟を訪れた著者の想いが再び恐怖を募らせる。アフリカを横断するハイウェイの開通で熱帯雨林の破壊が進み、その悲鳴のようにウイルスが人間界に広がっていくと。流行病とは人類に対する地球の拒絶反応ではないかと。新型コロナはどこから来たか不明だが、中国のどこかで人の手により破壊された自然が人間に逆襲を仕掛けたのではないか。人とウイルスの戦いは、どちらかが滅びるまで続く未来を感じてしまう読後感こそ最大の恐怖であろう。2020/04/23
kinkin
32
もしこのウィルスの存在がわからなかったら今頃はAIDSのように世界に蔓延していたかもしれない。後半に「地球は人類に対して拒絶反応を起こしているのかもしれない」また「わずか百年の間に起きた人口の爆発的増加はウィルスの前に、突然大量の肉を投げ出したのだ」と書かれていた。環境破壊に対する人間への警鐘ということか。未知のウイルスはまだ多く存在することは確かだろう。2014/04/07