感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
159
東京のミニシアター。80年代アートコンシャスな勃興期、90年代熱狂期から、映像コンテンツに対する意識変化とコロナ禍を経て今に至る潮流をリポートする。人とコンセプトとタイミングが結びつくと何かが始まる。日比谷シャンテシネと「ベルリン·天使の詩」、シネスイッチ銀座と「ニュー·シネマ·パラダイス」、渋谷シネクイント「メメント」の向かいのシネマライズで「アメリ」など、当時の熱量が伝わってくる。僕にとっては、閉館した岩波ホールでジョージアのテンギス·アブラゼ監督「祈り三部作」を観られたのが良い思い出になっています。2024/10/20
道楽モン
44
600ページを超える大著。都内での1980〜2000年代におけるミニシアターの栄枯盛衰を記録したもの。素晴らしい記録で、筆者による劇場側への聞き取りが中心となっているが、通読すれば、この時代のど真ん中に生きていた映画好きに共通した郷愁を呼び起こす魔法の書だ。そう、確かにあの時あの場所が想起される。情報をキャッチし、まだ観ぬ名作を求めて、時には行列に耐えて出会った映画たち。時代のニーズに応じて変容はしても、人の文化的な繋がりにとって、ミニシアター的な場所は必要不可欠なものだろう。索引に並ぶ多くの名画たちよ。2025/01/27
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2
日本の映画文化の隆盛を担ったミニシアターの遍歴を、80、90、2000年代の3世代を通じて切り取ったドキュメント。ミニシアターを熱く支えた支配人、配給会社、観客たち、そしてその中心にあった豪華絢爛な名作の数々に、ただただ感謝したくなるような1冊。 2025/01/05
読書初心者
1
東京のミニシアターに憧れを抱いている田舎在住の自分としては、今あるミニシアターたちも十分に色があって羨ましいと思うものだが、最盛期のミニシアターは独占上映が多く、もっと色が濃かったという記述を見て、少しその時代が羨ましく思えた。そして、岩波ホールの偉大さがひしひしと伝わってくる。 所々で出てくる、取材対象になった頭の固い映画ファンみたいな発言には若年層の映画ファンとして少し嫌悪感を抱くものの、ミニシアター勃興からコロナ以降の映画館を捉えた、私的でありながらも資料的価値の高い一冊ではなかろうか。良かった。2025/06/08
Yumita Tetsuji
0
宇都宮ヒカリ座いまだにミニシアターの匂いが残る昭和の映画館、誰か宇都宮の映画館の歴史書かないかな2025/01/01