目次
四月の魚(冬の翼;天使とたたかう二人;夜がまだみずみずしい間に;その朝も虹とハモンド・オルガンで;乗馬ズボンの日々;ターミナル・ホテル;四月の魚;光る夢、光る河 ほか)
風色合衆国
著者等紹介
正岡豊[マサオカユタカ]
1962年大阪市此花区で生まれる。1990年歌集『四月の魚』刊行。1992年別名義で第五回俳句空間新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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匙
10
ロマンチックで衒学しててスムースで透明感があって軽い。白眉はやっぱり「きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある」。ネット上の感想で「ファッショナブルな知性」と評してる人がいて友達が「disってるつもりじゃないだろうけどdisってるぽい」と言ったせいで頭から離れない…ファッショナブルな知性…うう…。その時のその人からしか生まれない、短歌はその人の青春の記録だと読むたび思う。
qoop
6
作家名などを詠んだ趣味性の強い歌に目を奪われるのは仕方ないだろうなと思ったが、再読でも印象変わらず。こうした固有名詞に仮託するものを共有することは難しそうだ、というところから、歌の理解/共感をどう捉えるかへと思いが進む。/ダスト・シュートにコナン・ドルが幾冊か捨てられて水けむるビル街/空割れんばかりの拍手さめぎわの夢にきく 雨のケストラー忌/映画雑誌のタルコフスキー特集で八月の陽をさえぎり歩め/暗闇の中のディズニー・ランド きみ、制服をわずかな金に替え/空は八月海は五月の色をして十月一日もの狂おしけれ2020/08/30
Cell 44
2
短歌に興味を持ち始めた最初の方、この歌集に強く憧れたことを思い出した。私にとって米文学の洒脱さと泥くささを抱えた書物であり、富澤赤黄男の『天の狼』のような峻厳とした詩情で立った歌群であり、俳句と現代詩には興味を持てても短歌にはあまり強い関心が持てなかった自分を動かしてくれた強い一冊だ。ただ、「四月の魚」と「風色合衆国」に重複している歌があるのは……。2020/10/12
Nene
0
好きな1首、 君がこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある あとがきの最後の言葉がかっこいい。 2024/08/09
ひ。
0
初めて知る言葉が多かった。だが、それでも素晴らしい短歌だと思った。ロマンチックで素敵。 星にまつわる歌がいっぱいあって嬉しかった。星の瞬く宇宙へと飛んでいける気がした。 「ぼくらのくらしはまるで二重太陽系死の呼び声はきこえないけど」 「かなしみは光ファイバー、突然に降りくるさみだれにおどろくな」 「きみがこの世でなしとげられぬことのためやさしくもえさかる舟がある」 「冥王星みつけた天文学者からすこしさみしさをわけてもらおう」 2024/06/04