内容説明
4世期末、ローマ帝国が再び東西に分かれたあと、ゲルマン民族の中に取り残された西の都ラヴェンナから、ローマの灯は消えてしまった。だが、帝国は東の都コンスタンティノポリスで命脈を保ち、ゆるぎない繁栄を築いていた。本書は、6世紀、その威信にかけて西方世界を取り戻し、「我らの海」にまたがる古の栄華を蘇らせた大帝ユスティニアヌス1世とその皇妃にして共治帝テオドラの、愛と野望の物語である。
目次
1 ボスポラス海峡の章―野望への道(皇帝の甥;運命;葛藤;誓い)
2 マルマラ海の章―傷ついた栄光(偽りの礼賛;冬の競馬場;反乱;逆転)
3 地中海の章―新たなる挑戦(聖ソフィア大聖堂再建;属州アフリカ;出陣;凱旋)
4 アドリア海の章―東西ローマ帝国再び(悲劇の女王;故地イタリア;激流;明暗)
5 「我らの海」の章―見果てぬ夢(報復;神よ!;黄昏の時;さらば最後の皇帝)
著者等紹介
野中恵子[ノナカケイコ]
1965年高知県生まれ。関西学院大学文学部卒業。トルコの現代事情や文化をテーマに、研究・執筆・通訳などに携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Junya Akiba
1
カルケドン信条や単性説の宗教解釈、ローマ帝国末期の諸外国を取り巻く状況等について、それらをわかっている人を対象に書かれているかの如く、十分な説明や解釈なく話が進むのでその時代をじっくり味わうための歴史小説としては物足りない。一方、小説としては、物語性に乏しく、描写もとってつけたようなもの、、、特に戦争のシーンなどはラノベ以下の淡々としたものだった。これでは実際に命を賭して戦場に赴いた兵士たちが可哀そう。さて、盲目的な信条を持つ皇妃の願いを叶えるために苦労する皇帝の姿から、我々は何を学べるのだろうか?2021/08/12
MORITA
0
西方は過去に失った幻想。ローマを名乗っても、新ローマとしてコンスタンティノポリスが誕生してもビザンツ帝国はローマとは違うものなのだ。2016/12/06
Ryo0809
0
ビザンティン帝国の皇帝ユスティニアヌス大帝(在位527年―565年)を描いた歴史本。ローマ無きローマ帝国はありえないとし、地中海世界の覇者の再現を夢見た最後の皇帝である。 テオドラやベルサリオスなどの脇を固める人物描写に味があるため、ユスティニアヌスが主役なのか、または、ローマ帝国という歴史のなかにある一大イベントを作家・野中恵子の目をとおして叙述したものか、読み進めながら迷った。それでも、一つの文学作品としての魅力は大きい。 2021/01/20
トミーチェ
0
図書館本。2018/09/03
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