出版社内容情報
四国の辺鄙な里の下肥汲みの家に生まれた美少女・純子は、過酷な家業にもめげずに天真爛漫に育っていた。だが、高度経済成長期の到来で家業は廃れ、さらには里の湧き水が涸れてしまう。皆が生きていくためには水道を引くしかない――純子はそれを実現させるため、高松の御大尽の愛玩となることを決意するのだが……。古きよき日本の原風景が蘇る昭和ノスタルジックファンタジー。
内容説明
四国の辺鄙な里に生まれた純子は、下肥汲みの家業にもめげずおてんばに育っていた。母は井戸に身投げしたのに化けて出る。遊女だった祖母は顔が崩れて里の嫌われ者となる。叔父は糞を詰めた天秤棒を担ぐしか能がない。それでも一家は平和に暮らしていた。だが、時代は高度経済成長期。バキュームカーの導入で家業は廃れ、さらには里の水源が涸れてしまい、暮らしはドン底。皆が生きていくためには水道を引くしかない―純子はそれを実現させるため、政治家の愛玩となることを決意するが…。古きよき日本の原風景が蘇る昭和ノスタルジックファンタジー。
著者等紹介
赤松利市[アカマツリイチ]
1956年香川県生まれ。2018年「藻屑蟹」で第1回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。20年『犬』で第22回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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H!deking
86
食堂でカレーライスを注文し、ページを繰りつつカレーライスが給仕される頃には食欲が全くなくなります。正にダイエットにうってつけな作品。と冗談はさて置き、利市先生が本気でふざけた本作。まずは文庫化されたのが凄いですね。世代的に子どもの頃ギリギリぼっとん便所ありましたが、だいぶバッチい話なのに何故か引き込まれ続きが気になる作品ですね。あと本人が書かれてるあとがきがめっちゃよかったです。これは好み180度分かれると思うのでおすすめはしませんが、面白かったと言う人とは友だちになれる気がします笑2022/12/06
のり
68
少々の基礎知識があったので心して読み始めたが、想像以上の○○尽くしだった。高度経済成長期にさしかかった時代。しかしその恩恵を受けない田舎で「純子」は下肥汲みの孫として生活していた。小学生とは思えない頭の回転と美貌。しかし、生活は逼迫する一方だったが…里の水源の枯渇と地蔵との不思議な遣り取り。まさか起死回生の一手まで食○○とは恐れ入った。2023/02/02
進☆彡19@雰囲気重視
19
単行本で読んでいたが、文庫化されたので再読。『モモ』のオマージュ作品とのことだが、少年少女のキラキラした冒険譚を描くジュブナイルとも読める。主人公の純子や信トリオを見る作者の慈愛に満ちた眼差しが浮かぶ。作者は『鯖』や『犬』などバイオレンスで評価を受けているが、『白蟻女』などの昭和が香るやさしい物語にも独特の味わいがある。白と黒、私はどちらも好きだ。あとがきにも作者の思いが詰まっている。特殊な物語ではあるが良い時間をいただいた。2022/12/23
そうたそ
13
★★☆☆☆ 清純な表紙に騙されることなかれ。ハードカバー版よりもいっそう、文庫版は確信的に騙しにかかってるような表紙。さぞ美しい話かと思って読めば、糞糞糞の連続な展開。糞とはその言葉どおりの糞。読んでいて気持ち悪くなる人は読むのをやめることをおすすめする。こういう時代もあったんだ、ということだろうが、そうではあってもやはり気持ち悪くなってしまうものは仕方がない。話としては、そこの部分を除けばさしてインパクトのない話ではあった。2023/05/27
のじ
9
何もいろいろ太字にしなくても・・・。映画化はむりだな。そんでなんだかお話の前半と後半でみんなキャラが変わっていないか?そうか、ファンタジーだったのか。言われて見ればそうだな・・・。読んでる最中はそんなこと思いもつかなかったけれども。2023/04/04