内容説明
原発の温廃水によって、数十キロもの広範囲にわたって漁場が消滅し、壊滅した魚種も続出している。まさに沈黙の海だ。本書は、漁獲データ、魚に装着したタグの記録、海外の研究報告などをもとに、原発と海について全体的に解明した日本初の書である。
目次
第1部 川内原発と鹿児島西部の漁業(甑海峡の漁業、生態系異変;秋太郎物語;南薩摩のヨコワに何が起こったのか)
第2部 沿岸漁業は原発と共存できない(福島第一原発の事故;川内原発と漁業;若狭湾の寒ブリ激減;沿岸漁業は原発と共存できない;隣接する漁場での温廃水と放射能の影響;大間原発とマグロの未来)
著者等紹介
水口憲哉[ミズグチケンヤ]
1941年中国・大連生まれ。育ちは東京・新宿。東京海洋大学名誉教授。農学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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緑のたぬき
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原発から排出される温廃水の漁業への影響を調査した本。原発は海水の取入れ時にプランクトンや魚、エビ、亀を吸い込んで殺す。そしてその海水中の有機物を殺すために、塩素を1日トン単位で使用する。そして、その塩素入り海水に原子炉配管中の金属微粒子が取り込まれ、放射能を浴びた水が海に廃棄される。塩素+金属片+放射能の3重汚染が原発沿岸では起きており、それが漁獲量の減少につながっている、そのような見えない海の汚染について書かれていた。原発がクリーンなどと寝言を抜かす者はこの本を一度読むべき。 2018/08/23