出版社内容情報
腎臓は、沈黙の臓器です。
数値が悪くなったときはすでに症状が進行していることも多く、いきなり「透析を」と言われることも少なくありません。
国民の10人に1人は「慢性腎臓病」という罹患率の高さとは対照的に、その病名や病気の深刻さはほとんど知られていないといっていいでしょう。
腎臓は、こぶし大くらいの大きさの臓器で、背骨を挟んで左右に一対あります。
おしっこを作り、血液をろ過して老廃物や余分な塩分を尿に排出し、体に必要なアミノ酸やミネラルを再吸収します。
そのほか、血圧を調整したり、体内環境を一定に保つよう体液を調整、さらに赤血球をつくったり、ビタミンDを活性化したりしています。
もし、あなたのおしっこが「いつも泡立っている」「泡がいつまでも消えない」という状態が続いているなら、腎臓の機能が低下している、腎臓が弱っていると考えられます。
今、自分の腎臓がどんな状態にあるのかは、健康診断で出される数値からおおよその検討はつきます。
本書では、腎機能を改善させるための、あらゆる方法をご紹介しています。
食べたほうがよいもの、食べないほうがよいもの、どのくらいの運動をすればよいか、睡眠や、最先端の薬についても解説をしています。
寿命を全うするその日まで、ご自分の腎臓で過ごすためにできることを、最新の医学論文を紐解きながらご紹介しています。
それでも「透析」を避けられなくなる場合もあります。
透析には、「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。
日本では、「血液透析」が全体の98%を占めていますが、世界の潮流は「腹膜透析」です。
「腹膜透析」のメリットはなんといっても、生活の自由度が上がることです。
自宅でできる、睡眠時にできる、旅行や出張もできる、運動もできる、食べ物や水分の制限がほとんどない……。
つまり、生活の質を落とすことなく、日常生活を送れることにあります。
驚いたことに、腹膜透析の患者さんのなかには、トライアスロンを実践している人もいるくらいです。
患者さんは「血液透析」と「腹膜透析」のどちらでも選択できますし、両者をミックスして使用することができることなども詳しく説明しました。
腎臓の機能が弱ってきても、少しの努力で改善できるということ、そして万が一、透析をすることになっても、人生を諦めることなく過ごすために「腹膜透析」という選択肢があることを、ぜひ多くのかたに知ってほしいと切に願っています。
内容説明
おしっこの泡と、心臓病で死ぬこと。この二つは遠く隔たっているように見えて、実はとても深く、近い関係にあります。そして、それをつないでいるのが、「慢性腎臓病」です。最新の医学論文や研究に基づいた、誰でも可能な腎機能バージョンアップ法をお送りします。
目次
第1章 おしっこの泡立ちは腎機能低下のサイン(おしっこはどこでどうやって作られる?;おしっこを作っている臓器「腎臓」 ほか)
第2章 誰にでも慢性腎臓病になるリスクがある(早期発見に不可欠な検査とは;重要性が広まらない「尿アルブミン検査」 ほか)
第3章 弱った腎臓を元気にするセルフケア(死ぬまで自分の腎臓で過ごすために;「透析を回避すること」、これを目標にする ほか)
第4章 それでも数値の悪化が止まらなかったら(人生を諦めない選択肢を;腎代替療法を決断するとき ほか)
第5章 もっと腹膜透析という選択肢を広げるために(幅広い選択肢で患者さんの生活を豊かに;腹膜透析をめぐる動き ほか)
著者等紹介
岡本卓[オカモトタカシ]
1960年京都生まれ。85年東京大学医学部卒業後、東大病院第三内科、自治医大病院などを経て、92年より博士研究員として、ハーバード大学医学部へ。95年に同大医学部講師。97年クリーブランドクリニック財団ラーナー研究所助教授就任。同年、オハイオ州立大学助教授兼任。99年理化学研究所脳科学研究センターチームリーダー就任。2001年K&Iオホーツク海病院勤務。2004年オホーツク海病院院長。2009年北海道北見市で愛し野内科クリニックを開業。医師。医学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ぽんた
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