出版社内容情報
第二次世界大戦末期の冬のオランダ。森の中の農家に疎開した少女の目を通して、厳しい現実に生きる人々が淡々とつづられた作品。
内容説明
11歳の少女が見つめる、きびしい戦争の冬を生きぬく人々の喜びと悲しみ。オランダで毎年最高の児童文学に贈られる「金の石筆賞」受賞。小学校上級以上。
著者等紹介
ファン・ストラーテン,ペーター[Van Straaten,Peter]
1935年、オランダのアルネムに生まれる。アムステルダム美術工芸学校(現リートフェルト・アカデミー)卒業。58年より、新聞にイラストを描きはじめ、同時に本の装丁の仕事も始める。風刺漫画家、イラストレーターとして高く評価され、数々の賞を受賞。一方、自らの好きな仕事として、子どもの本の挿絵も多数手がけ、98年には、はじめて自分で文章も書きおろした『少年と木』(未邦訳)を出版。アムステルダム在住
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
146
この本は非常に読みでがあるとともに、この文庫だけに収めておくのはもったいないのではないかという気がしました。子供だけではなく大人の人びとも読んでもらいたい気がします。戦争の影響を主題としたものですが戦闘場面などはなく、人間の持つ本来的なやさしさなどがうまく書かれている気がしました。この読書メーターでまたいい本に出合えました。2016/09/30
シュシュ
31
大好きな本。第二次大戦時のオランダ。11才の少女ノーチェの目線で描かれている。ノーチェはお父さんと一緒に戦火を逃れて、森のそばの農家に住まわせてもらっている。農家のおやじさん、ヤンナおばさんが慈愛に満ちた素朴な人たちで素敵。食べ物を求めてくる人たちには拒まないで与え、森に隠れ住んでいるユダヤ人家族にもこっそり食べ物を運んでいく。街から離れたこの農家にも戦争の影はあるのだが、大人たちが頑張ったため、子どもたちは、なんとか日常をやり過ごせていけたように思う。この農家も、農場も、農家の人たちも、丸ごと好き。2016/09/17
timeturner
10
こんな戦争児童文学もあるんだな。悲しく辛い時代も、自然の移ろいや動物たちとの暮らしに大きな喜びや美をみつけられる少女の視点から描かれると全く違って見える。素直な人間観察は愉快で鋭い。翻訳も素晴らしい 。2018/09/19
tellme0112
8
ああ、読み終わってしまった。子ども視点からの戦争。等身大のドイツ兵。最後は喪失感でいっぱいです。2017/11/09
tellme0112
7
あんなにたくさんの人がいたのに、どうしてみんな、だまりこくっていたのかしら。別の意味で突き刺さる言葉。トランプ来日の芸能ニュースのような追っかけ報道一色、SNS連続殺人事件持ちきり、その陰で国会審議骨抜きにする質問時間の配分は各委員会の委員長が決めることになってしまう日本。2017/11/08