出版社内容情報
りゅうのけんかで裂けてしまった天。若者サンは白姫の助けを得、人々の苦難を救いに出かけます。夜空の星の天の川にまつわる壮大な中国民話の世界です。
<読んであげるなら>5・6才から
<自分で読むなら>小学低学年から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
297
原話についての表記がないが、中国の神話か民話だと思われる。君島久子・再話、赤羽末吉・画。授かり子のサンの英雄譚。プロットの話型は出生から桃太郎伝承に似ている。また、三人姉妹の三女が重要な役割を果たす点も(また、三度同じような求婚が繰り返される点も)、よく見られる話型。読み聞かせには長いが、構成も緊密に整っており本格的な昔話(神話)である。それになにより赤羽末吉の絵が破格の出来である。この人の絵では『スーホの白い馬』などの評判が高いが、本作はそれ以上かと思われる。憧憬と幻想とが見事に融合した作品。お薦め!2024/12/02
Kawai Hideki
93
娘チョイス。表紙の龍を見て曰く「怖そうだから読みたい」。怖いもの見たさの芽生えか。読んでみると、実は怖いのは龍よりも人間の方だった。兄弟喧嘩して天に穴を空けてしまった龍を懲らしめているのだ。しかも牙を全部抜いているところ。ひえ〜。お話は桃太郎的英雄譚。綿の実から生まれた男の子が、クマ王の娘と結婚し、針仕事で龍が破いた天を繕うというお話。3人娘の上の2人は駄目で、末っ子が嫁になるのも、オーソドックスなパターン。我が娘は「わたしがお嫁になってあげる」と言うようになり、びっくり。物語の最後のオチもよくできてる。2016/02/26
chiaki
48
中国に伝わる民話。龍の兄弟の仲違いをきっかけに、天には裂け目が!村人たちを苦しめるその天の裂け目を繕うため、勇敢な若者サンは、緑の髭老人に従い繕い上手なクマ王の末の娘を嫁にする。天空の起源を辿る壮大なおはなし!読み聞かせも20分はかかりました。赤羽さんの迫るような画、吸い寄せられそうな天空の画…圧倒的で魅了されます♡2021/04/20
gtn
41
疑うことなく真理を追求し、動けば、大事を成就できる。だが、障魔が多く、そこまでたどり着けないことがほとんど。大目的を達成するには、独りではなく、同じ志を持つ者がそばにいることがポイントかもしれない。2021/11/28
Totsuka Yoshihide
38
君島久子再話、赤羽末吉画。読み聞かせで使用。本書は、ニ匹の龍のケンカが元てま「天」に裂け目できる。そこから冷たいヒョウが石のように落ち、草木は倒れ、生き物は死んでゆく。それを巨石から生まれた若武者「サン」が救いに行く冒険譚。りゅうのきばは「ほし」、白いターバンは「ぎんが」。ロマンティックでスケールが大きい話でした。クマ王とサンのやり取りが好きです。2023/08/30