内容説明
一九八六年、チェルノブイリで起こった史上最悪とされる原子力発電所の事故。放射能の恐怖は世界に広がっていく…。ドイツに住む日本人の少年・トオルがみたものとは。
著者等紹介
中澤晶子[ナカザワショウコ]
1953年、名古屋市生まれ。「ジグソーステーション」(野間児童文芸新人賞)などがある。日本児童文学者協会会員。現在、広告ディレクター・コピーライターの傍ら、作品を書いている
小林ゆき子[コバヤシユキコ]
1977年、東京都生まれ。絵本作家・イラストレーターとして活動中。その他、月刊保育絵本、グッツなど。日本児童出版美術家連盟会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よこしま
24
チェルノブイリ事故が起きた当時のドイツに在住していた日本人家族のお話しです。児童書ですから、小学校高学年から読めますので、お子さんと一緒に、若い方にも将来生まれてくる生命のことを、今の日本を考えながら読んでほしい想いです。福島第一原発の事故により復刊されました。◆ドイツはチェルノブイリから2千kmという距離です。福島と東京の距離は比べるまでもない近さですよね。ウラン採取の地にいたホピ族族が書いた石板「白人の道は...」や、親友ブリギッテの「毒は嫌だけれど便利な生活はしたいは矛盾してる」突き刺さりました。2014/10/30
マツユキ
13
1986年にチェルノブイリで起こった原子力発電所事故を、ドイツに住む日本人の少年トオルの目線で描いています。88年に出版され、2011年に復刊されました。 急に伝統的なソーセージ作りが始まって、驚いた。生き物の命を頂く事。感じるぬくもり。他の子とは違う憧れのマドンナB。親への反発。日本で言う小6が生き生きと描かれています。楽しみにしていた5月が、事故で一変する。制限された暮らしへの不安、反発。対立も生む。3・11と重なる部分も多く、なぜ、繰り返してしまうのか、これからは…?考えるのに、良い一冊です。2020/11/12
ジュースの素
11
チェルノブイリ原発事故の時にドイツに赴任していた日本人家族の話。その時 ドイツではどんな風だったのかを語る。様々な憶測が飛び、ヨードの飲み物が配られた。酪農家や農家は産品を売ることが禁じられ、全て捨てられた。子供は外に出すな、妊婦は特に気をつけろと。 この家族は高くついても日本食を買い、神経質に過ごした。 やがて二人目の子供がクリスマスに産まれるまでを描くが、この先はどうなるのか。 誰もが見えない恐怖に怯えながら暮らす周辺住民の不安を描く。2016/07/10
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
6
チェルノブイリ原発事故の時にドイツに住んでいたトオル一家。その時のドイツの様子が語られている。様々な憶測、噂から目に見えない恐怖を生活を通して語られている。フィクション。2018/10/06
杏子
5
チェルノブイリの時と今の福島と全く変わらぬ状況に驚く。一番、影響受けるのは小さい子どもたち。お母さんのお腹の中の赤ん坊。もの言えぬ草や木や動物たち。ブリギッタの言葉が鋭い刃のように突き刺します。便利な生活を捨てられない私たち現代人。今、何かを変えるべき時に来たのかもしれません。自分に何ができるのだろう。考えるいい材料になると思う。これを読んだ子どもたちの心にも、何かが残ればいいな。明日を作るのは、彼ら自身なのだから。 西日本読書感想画指定図書。高学年向け。2012/07/24