内容説明
東京電力福島第一原発の事故後も地域医療に奮戦する高野病院。事故による多忙と混乱、退避せずの判断、入院患者移送の苦労、看護師不足の悩み、行政・東電との丁々発止…厳しい環境もユーモアで乗り切ってきた事務長の奮闘記。
目次
第1章 逃げない!
第2章 高野病院を守る!
第3章 負けちゃいられない!
第4章 まだ戦える!
第5章 悔しいやら、悲しいやら
終章 進むしかない!
著者等紹介
井上能行[イノウエヨシユキ]
1955年、大分県生まれ。1977年、京都大学理学部を卒業、中日新聞社に入社。岐阜総局、高山支局、東海本社を経て1987年、東京新聞(中日新聞東京本社)編集局科学部。科学部長、編集局次長などを経て2012年12月から編集委員(福島駐在)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
17
LEDランタン。 単一電池がなくなると、 電池を太ももでこすって 急場をしのいだ(33頁)。 メールでは、「町に見捨てられ 一両日中に、燃料が切れます。 =患者さんの死につながります」 (43頁)。 3月15日19時55分のことである。 院長の高野英雄先生は、いろいろな 学問を放浪。塾講師、家庭教師 をしながら古今の名著を読みあさった (88頁)。 院長曰く、 知的レベルは高くなくても、 踏ん張りがきくナースの方が 強い、と(187頁)。 体力、IQよりもEQということかな。 2014/06/02
ようはん
11
病院の事務長視点からみた原発に近い病院における東日本大震災。震災直後の物資補充の大変さ、立地故の交通移動と人材確保の困難さと敢えてユーモラスに書いている所はあるものの過酷な状況が伝わってくる。2020/07/16
お華
5
★★★★☆現場の人々と官や企業との温度差(>_<)そんな中で笑いを忘れずに頑張っている姿に頭が下がる思いでした2014/06/02
たく
2
地元なので。高野病院さんは避難せずに留まっておられたことは知っていたが、そして聞き書きなのでさらりと書かれてはいるが、相当壮絶であったろうと目頭が熱くなる。例えば海側が通れないこと、山麓線のこと、さらっと書かれてはいるが、聞いた話通った記憶からも、その通行の点だけで苦労が忍ばれる。診て頂いたことはなく、帰省の常磐線をいわきで乗り換え、広野駅を過ぎて右、海側に高野さんが見えるとああ、双葉郡だな、と思うくらいのご縁だったけれど、応援したい。2014/07/05
ゆきまさくん
1
福島県広野町唯一の病院で、福島原発から22キロの距離にあり、原発事故後は双葉郡唯一の病院である高野病院について書かれたもの。 ここは民間の病院として、被災地の患者さんを守ってきたが、昨年暮れに院長がお亡くなりになり、現在は常勤のお医者さんがいらっしゃらないため、存亡の危機にあった。 当病院院長御存命の時の震災時の奮闘について描かれている。2017/01/21