出版社内容情報
「あそこは墓地なの」
三歳の娘が語る衝撃の胎内記憶とは…
「墓地」より
鳥肌びっしり、絶望がみっちり
ギュウ詰めの酸鼻に首まで浸かる実話怪談
一家四人が首吊り自殺した忌み家。お稲荷様の祟りともっぱらの噂だが、そこに新たな住人が…「サイレン」
とある神社に髪の毛で結わえられた無数の絵馬。内容は全て謝罪文で…「こうたさま」
孫の初節句の写真に変な男が写っていると訴えた直後に吐血死した祖母。母親には何も見えないのだが…「七五三の写真」
豪商の家の養女になった貧家の娘。彼女が新しい家の天井裏で見た恐ろしい光景…「赤い部屋の理恵」
三歳の娘に好奇心で尋ねた胎内記憶。すると娘の口調ががらりと変わって…「墓地」
ほか、家族円満ならぬ禍族厭満な実話がぎっしり。
さて、いま貴方の隣にいる人の笑顔は本物ですか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐倉
11
ほっこりする『世界一の景色』から始まったので今回はそういう趣向か…?と思ったがただのジャブだった。あとがきでは家庭円満に掛けて厭満というタイトルとのこと。『どうする』『墓地』など隠していた過去が溢れ円満が厭満に…という作品が多め。面白かったのは苛烈な死体蹴りとそれを当然と感じてしまう自分の心が悍ましい『なるほどね』、語り手の善性を引き剥がしてくる怪異を描く『醜い』『お前が言うな』『無責任男』『失神する聖女』、ひたすら不可解な『こうたさま』『朱い部屋の理恵』『一人にはしない』。2023/09/20
Porco
9
声優の井澤詩織さんとコラボした夏の怪談文庫フェアで購入した一冊。序盤は慣らし運転をしながら「猫派の刈谷くん」あたりから話の残虐さと凶々しさのギアが上がり、それに比例するかのように語り手側も段々とヤバさを増していく話の順番の配置がいい。読み進めるにつれだんだんと話に引き込まれ没入していくと同時に、気分どころか軽く体調も悪くなり最後の「墓地」を読み終えた時は苦痛から解放されたと感じるほどだったが、それでも後引く不快感で読後感はとても良い最悪な気分。作者はほんっっとクソ野郎だな!今回も素晴らしかった!!2023/08/21
qoop
9
本レーベルに良くある駄洒落風ネーミングセンス、嫌いではないが本書はなぁ。厭な話が満ち満ちている実話怪談集と、題名に偽りのないところが厭だし、何よりも時折、ペーソスを感じて意識せずうっすら笑いを誘われそうになるのも厭だ。さすが著者だと感心はするけれど。〈関西男へ贈る言葉〉〈チーム伊藤〉〈腐り米〉〈常に動くもの〉〈朱美ちゃんの幸せ〉〈一人にはしない〉〈七五三の写真〉〈交換しましょ〉など、印象に残る話多数。2023/01/26
ラルル
7
家庭にまつわる厭な話の数々。徐々に壊れていく家庭の情景に、心に厭が満ちてくる2024/04/23
おくしょー
6
家族円満、の円満を文字って厭満😫家族や家がテーマの実話怪談🕯️ ほっこりしたり感動するものもあれば、ゾワッ、エグ、も。特に「なるほどね」「醜い」「一人にはしない」「七五三の写真」「同情」「痛いの痛いの飛んでいけ」「どうする」「墓地」が好きでした🙈「痛いの痛いの飛んでいけ」は悲しすぎた😭2023/08/03