内容説明
不透明な時代を生き抜くために。フランス文学の奇才が提案(?)する、ウリポ的昇給のススメ!本邦初、フローチャート文学!?奇想天外な作品ばかり残した、ジョルジュ・ペレックによる、新・実用書!
著者等紹介
ペレック,ジョルジュ[ペレック,ジョルジュ] [Perec,Georges]
1936年、パリに生まれ、1982年、同地に没した。小説家。1966年にレーモン・クノー率いる実験文学集団「ウリポ」に加わり、言語遊戯的作品の制作を行う
桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年、広島県府中市に生まれる。東京大学大学院博士課程満期退学。パリ第四大学文学博士。専攻、フランス文学・芸術論。現在、東京大学大学院総合文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
兎乃
34
ジャック・ペリオー“課長に近づく技術と方法”に着想を得て、1968年仏蘭西“プログラム学習”4号に掲載された作品。巻頭のフローチャートで作品構造を一望した後、句読点のない文章が延々続くわけダガ、ペレックがこのまま終わるハズない…と心して読み進める。何度も何度も繰り返されるロボット音声のような平坦な言葉、微妙なズレが生じ、それでもたどり着けない…。カフカの城?四畳半神話大系?だんだん、だんだんと面白みが増幅して笑ってしまう、お見事なペレックのディラン効果物件。翻訳の桑田光平氏に拍手♪2015/07/26
りー
26
同じ文章の繰り返しに些細な変化を持たせて物事を進行させてゆくという文章スタイルは筒井康隆御大の『ダンシング・ヴァニティ』を彷彿とさせる。どうでも良さ、くだらなさに於いて両者引けを取らないが、本書の方が「フローチャートのすべてのステップを網羅した文章」という正解がある分いくらかシステマチックに思える。句読点も無いのに文章も読みやすく、そしてペレックの中では格段に取っ付きやすい作品なので、スラップスティックコメディの一種として手に取ってみるのもオススメである。2015/08/04
ヒダン
12
よく振り出しに戻るので同じような記述が繰り返されることになるが、まんまコピペではなくちょっとずついじってあるところがあってそこが面白い。またそれ自体は決まり文句なんだけどランダムに挿入されている“簡潔”のくだりはツボになった。フローチャートだと1ページで収まるけれど全てを平坦に文章にすると一つの中編小説になってしまうとは。上司に近づいてはいるけれど結局給料はあげてもらえてない、255回も挑戦したというのに。2016/09/22
きゅー
10
給料をあげてもらうために上司のX氏に面会をもとめる「あなた」のためのフローチャート。1ページの表にまとめられる内容を文字にすることで何十倍にも膨れあがる言葉の山また山。何度X氏に麻疹のことを尋ね、何度ヨランド譲とおしゃべりをし、何度社内を彷徨したことか。しかし、繰り返される言葉が脳内で響き渡って、次第に心地よく感じてくるのはどうしてだろう。オフィスを経巡る彷徨が、偉大な旅のように思えてくるのはどうしてだろう。「なぜ」と「どうして」のはざまに揺られながら「あなた」の旅の伴侶として暖かく見守る読者A。2015/07/03
ぞしま
5
笑った。冗長なミニマリズム。一気読み推奨。2016/02/07
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