出版社内容情報
権力・神・道徳を根底的に嘲笑し、戦慄渦巻く悪徳と淫蕩を描いた大暗黒小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきゃり
4
ギャグと哲学と分厚いけど薄い本。エログロが永遠と続くのに高貴さを失わないすごい本。続きでてるやん。警視庁にありがとを言わないとね。面白いので続も読む。2020/09/16
Junichi Watanabe
2
#読了 。これぞサドの本質か。悪と自堕落な情欲と金が至上で、宗教と美徳を嫌悪する。だがそれは本来自然に縛られた人間の本質ではないかと言っている。所々金言とも言うべき文章が散りばめられている。翻訳当時の隠語がちょっとわかりずらかった。2023/09/13
ひろと
1
前編をまず読んだ。この小説においてのテーマは悪そのものだと思う。純文学か大衆文学かの定義するならこれは後者に分類されるものでいる確率が高いと思う。主張ははっきりしているが心象の真実性があるとは言い難い。美徳がどこから悪徳に変わるのか、それを追求している点はすごく面白いと思うけれど、神というものや美徳をやたら否定する登場人物は本当に悪徳そのものを崇拝していると言えるのだろうか。彼らが愛しているのは美徳、善へのアンチテーゼとしての悪ではないか。2021/06/10
コウみん
1
澁澤龍彦のアイデンティティとして認められる一冊。 半世紀前にわいせつ文書として呼ばれたこの作品はサドのエロティズムがよく理解できる。あの時はとてもカルチャーショックで私たちが読んでいたおとぎ話は間違いだと思われる内容ばかりだ。純潔なんか要らなく、人間はただ快楽だけ生きる生き物なのを分かった。2020/12/29
とーとろじい
1
人格概念が忘却されると極端ながらこうなるのも理解できないわけではない。奴隷や貧しい人を殺すことに快楽を見出す富裕者という構図は、人権意識や人格概念を受け入れない時代にとって必然的な帰結ともいうべき事態なのではないだろうか。そしてそれは現代の「みんな違ってみんないい」という、他者の権利の侵害までをも「多様性」の名の下に肯定してしまう、無思考な人々の危うさにも通じている。それとは別に、夫婦が乱交クラブに入ってそれぞれ他人と交わるという発想は、現代の恋愛や結婚の規範に対して性行の自由化を促しているようで面白い。2019/02/01