出版社内容情報
権力・神・道徳を根底的に嘲笑し、戦慄渦巻く悪徳と淫蕩を描いた大暗黒小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こきゃり
4
ギャグと哲学と分厚いけど薄い本。エログロが永遠と続くのに高貴さを失わないすごい本。続きでてるやん。警視庁にありがとを言わないとね。面白いので続も読む。2020/09/16
Junichi Watanabe
2
#読了 。これぞサドの本質か。悪と自堕落な情欲と金が至上で、宗教と美徳を嫌悪する。だがそれは本来自然に縛られた人間の本質ではないかと言っている。所々金言とも言うべき文章が散りばめられている。翻訳当時の隠語がちょっとわかりずらかった。2023/09/13
木麻黄
1
語調が古臭いことに加え,言葉選びのセンスにも違和感があり,全体的に格調が低いという読後感です。名にし負う反(性)道徳の書ではあり,およそ230年前に書かれたとは思えないくらい,今でも立派に現代人の眉を顰めさせることのできる物語です。これを思うと,我々の(性)道徳は,人間本性と言っていいような頑健さがあるように思います。一方で,悪徳自体も,人間性に基づくものだという考察は,さすがの慧眼であり,殊更にそれを称揚することで,道徳には加工性があって,権力者にとって都合がいいことも白日の下に晒す効果も感じました。2025/02/01
ひろと
1
前編をまず読んだ。この小説においてのテーマは悪そのものだと思う。純文学か大衆文学かの定義するならこれは後者に分類されるものでいる確率が高いと思う。主張ははっきりしているが心象の真実性があるとは言い難い。美徳がどこから悪徳に変わるのか、それを追求している点はすごく面白いと思うけれど、神というものや美徳をやたら否定する登場人物は本当に悪徳そのものを崇拝していると言えるのだろうか。彼らが愛しているのは美徳、善へのアンチテーゼとしての悪ではないか。2021/06/10
コウみん
1
澁澤龍彦のアイデンティティとして認められる一冊。 半世紀前にわいせつ文書として呼ばれたこの作品はサドのエロティズムがよく理解できる。あの時はとてもカルチャーショックで私たちが読んでいたおとぎ話は間違いだと思われる内容ばかりだ。純潔なんか要らなく、人間はただ快楽だけ生きる生き物なのを分かった。2020/12/29
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