内容説明
フロッタージュとは、木や石など凹凸のある素材の表面に紙をあて、鉛筆や石墨でその地肌の像を擦り出す。シュルレアリストのマックス・エルンストが1920年代に発見した手法で、コラージュとともに、自己表現の意味を大きく変えた手法として知られている。これに発想を得て、1970年代、日本の都市の道や壁や電柱に紙をあて、無数のアーバン・フロッタージュを採取した青年がいた。これは、その途方もない作業の記録である。都市の総体的なヴァーチャルリアリティが精度を増すにしたがって、現実そのものが果てしもなく不確かになっていく今日、この謎めいた図像を通して、日々生きている環境の手応え、そのなかにある私たち自身の身体性の手応えが仄見えてくる。都市観察としてはこの先はないどん詰まりの理論書。都市人間にとっての健康回復の指南書。お年寄や子どもにとっても即実行可能な楽しい教科書なのである。
目次
アーバン・フロッタージュについて
作業
都市との感応―フロッタージュにいたるアクション
フロッタージュ
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- 和書
- 最後のユダヤ人