出版社内容情報
【デモクラシーの広がりと深まりのために】自由・平等・正義を巡り,憲法と政治思想の二つの学問領域が政治秩序の思想的問題を照射し合う。日米仏EUの現代分析を軸に。
内容説明
今日、自由・権利・平等・正義と無関係に政治のあり方を構想することはおよそ不可能であるが、それらの概念は古来論争の的であり、政治思想の助けなくしてその意味内容を把握することは難しい。また逆に、具体的な政治制度の支えなくしては、どれほど崇高な政治思想も画餅餅に帰するであろう。このように、政治秩序の構成という観点からすれば、憲法と政治思想とは密接に関連しているにもかかわらず、わが国の学界や論壇では、残念ながら、両者の対話は非常に限られていたように思われる。本書は政治秩序の構成に関わる思想的問題を憲法と政治思想との視点から分析し、それによりわが国における両者の対話を活性化させるとともにデモクラシーの広がりと深まりに寄与しようと試みたものである。
目次
第1部 日本国憲法制定期における新しい政治秩序の構想(「亡命」者の日本国憲法―大山郁夫の戦後思想をめぐって;未完の憲法革命―新しい時代の幕開けと美濃部達吉;「健康で文化的な最低限度の生活」再考―困窮者のシティズンシップをめぐって)
第2部 現代デモクラシーと人権の概念をめぐるパブリック・ディスコース(ヨーロッパ統合とフランスの人権;合衆国憲法におけるデモクラシーと平等審査;ハーバーマスの市民的不服従論―デモクラシーと法治国家の内的連関に関する一考察)
第3部 現代政治理論における立憲主義とデモクラシー(コミュニタリアニズムの社会正義論―マイケル・ウォルツァーの配分的正義論をめぐって;市民の徳と政治の制度―『美徳なき時代』再読;現代ベラリズムにおける立憲主義とデモクラシー―政治の可能性をめぐる一試論)
著者等紹介
飯島昇蔵[イイジマショウゾウ]
1951年生。Ph.D.(政治学、シカゴ大学)。早稲田大学政治経済学部教授。専攻、政治哲学/正義論
川岸令和[カワギシノリカズ]
1962年生。イェール大学博士候補生(法学)。早稲田大学政治経済学部教授。専攻、憲法/憲法理論・表現の自由論
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