出版社内容情報
故郷樺太での生活の話から、日露戦争、南極探検まで
樺太アイヌ山辺安之助の口述した自伝を、若き日の金田一京助が筆録、訳出対照。故郷樺太での生活の話から、日露戦争、南極探検までが、日本語にアイヌ語のルビがついた独特のスタイルで語られる。大正二年十一月、博文館より刊行されたものの復刊。
内容説明
樺太アイヌ山辺安之助が樺太アイヌ語で口述した自伝を、若き日の金田一京助が筆録、訳出対照。その生い立ちから、対雁への強制移住、疫病の蔓延、日露戦争、南極探検までが、日本語にアイヌ語のルビがついた独特のスタイルで語られる。付録:樺太アイヌ語大要・樺太アイヌ語彙。
目次
故郷
流転
石狩に於ける青年時代
帰郷
湖畔の漁民
日露戦争
四箇村の総代
南極探検
著者等紹介
山辺安之助[ヤマベヤスノスケ]
1867年、樺太生まれ。樺太千島交換条約の締結で対雁へ強制移住させられるが、後に自力で帰還。日露戦争では日本軍に協力し、「勲八等瑞宝章」を受勲。白瀬〓の南極探検隊に参加。学校の建設など、樺太アイヌ集落の発展に尽力した
金田一京助[キンダイチキョウスケ]
1882年、岩手県生まれ。言語学者、国語学者。アイヌ語学、アイヌ文学研究の創始者。国語辞典の編・監修者としても知られる。文化勲章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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谷ヤン
23
ヨヤマヌクフこと山辺安之介。直木賞作『熱源』の主人公であり100年前に書かれたこの本の著者。文体は当時のままで、アイヌ語のルビがついてて読みずらいのがたまに傷。明治初期からの自らの体験を感情をほぼ交えず淡々と語り、なかでも南極大陸迄の航海とオセアニアの国々に立ち寄ったエピソードが興味深かったです。最後の2ページでやっとご本人の想いが語られ、アイヌの子孫が教育を通じて文明の中で強く生きていけるよう、蔑まされるのは自分の代で終わらせるという強い覚悟を感じました。2021/05/09
meru
20
子どもの頃読んでたマンガに カムイ外伝 ってのがあって、とても好きだった。その頃からなんとなくアイヌという人達が気になっていて、今年「熱源」を読んで、日本と昔から深い関わりがあって、最終的には日本に統治されてしまう。戦争にも巻き込んで多くの犠牲をはらう。日本は沖縄の人々にも同じような過程を経て独特の文明を奪った。日本人 今で言う上から目線 的な考えが強かったということかしら。悲しい2021/07/14
ドラマチックガス
7
『熱源』の元ネタ本? 南極へ行った樺太アイヌ・山辺安之助の自伝。書かれた時代背景や、和人である金田一京助への口述をもとにしているという事情もあってか、でてくる和人がみないい人だし、山辺さん自身も日本人になることをめざし、日本のためになることを誇りとしている。それも恐らく本音の一端なのだろうし、また逆に差し引いて考えなければならない部分も多々あるとは思う。北海道や樺太で会った素敵な和人役人たちとのエピソードが掛け値なしの実話であることを願ってやまない。2021/08/25
ジャンルバルクイネー
1
樺太アイヌとして生まれ育った山辺安之助の日記を金田氏がまとめたもの。日露戦争前後の樺太アイヌの実状が書かれている。アイヌたちは日本人という意識が高く、戦争にも積極的に参加していたことに驚いた。2022/08/31
必殺!パート仕事人
0
著者は樺太生まれのアイヌで第一回の南極観測隊にも参加したそう。アムンゼンの記述があります。地の文が日本語、ルビがアイヌ語、解説によると両方読んだ方が正確だそうです。対雁村の土人学校の一期生。学校生活は楽しかったようで、入れ替わる和人の先生の記述も興味深いものがありました。 樺太→対雁→樺太と日本人の都合で移動させられました。居残りを決めたウタリもいたので、その場合別れが待っていました。著者は最後まで日本の為に、ウタリ(特に子供達)の為にの思いが強く、最後の一文はウウェペケレの締めのようでした。2023/01/03