内容説明
「パレスチナ問題」を経済学的に分析し、世界的に注目される著者が明らかにするイスラエルの占領実態と国際社会の援助の行方。ホロコースト生存者の娘という出自から問う、人間の記憶と倫理への思考。
目次
ガザ地区とパレスチナの概要およびサラ・ロイの仕事
もしガザが陥落すれば…
ガザ以前、ガザ以後―イスラエル‐パレスチナ問題の新たな現実を検証する
「対テロ戦争」と二つの回廊
ホロコーストからパレスチナ‐イスラエル問題へ
“新しい普遍性”を求めて―ポスト・ホロコースト世代とポスト・コロニアル世代の対話
著者等紹介
ロイ,サラ[ロイ,サラ][Roy,Sara]
1955年アメリカ生まれ。政治経済学。ハーバード大学中東研究所上級研究員。パレスチナ、とくにイスラエルによるガザ地区の占領問題の政治経済学的研究で世界的に知られる
岡真理[オカマリ]
1960年生まれ。現代アラブ文学、第三世界フェミニズム思想。京都大学大学院人間・環境学研究科教授
小田切拓[オダギリヒロム]
1968年生まれ。フリージャーナリスト。報道・経済番組制作後、イスラエル/パレスチナを中心に取材を行なう。とくにガザ地区、隔離壁、経済援助の問題を掘り下げた報道で知られる
早尾貴紀[ハヤオタカノリ]
1973年生まれ。社会思想史。東京大学COE「共生のための国際哲学教育研究センター」研究員、東京経済大学他非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Joni
7
21世紀以降のパレスチナ問題、特にガザに焦点を置いてる。ある程度事前にパレスチナ問題を勉強してないと厳しい。イスラエルによる巧妙かつ残虐な支配体制を政治経済学的な観点から考察。ほんとに緻密ですごい。著者のサラロイ氏がこの研究に至った経緯なども印象的。最後の徐京植さんとの対談もおもしろかった。2015/08/14
ふくみみ
6
高橋和夫先生の「アラブとイスラエル」はオスロ合意目前のかすかな希望で終わっていたが、本書はそこからの失望の数々を描いている。今の首相だけでなく迫害は何十年というスパンで続いてきたのだ。「アラブとイスラエル」にもイスラエルのある種の人々がホロコーストを恥じ、被害者を貶めるような考え方があると書かれていたが、本書でもそのようにホロコーストから目を逸らす人々が蛮行に加担していると感じた。日本も他国への加害、自国の被爆の歴史を語り継がないと他国になら原爆を落としていいと思ってしまうのかもしれない。2024/06/27
yooou
6
☆☆☆☆★ ガザ地区の実態。ハマースとファタハの関係。そしてホロコーストをくぐったユダヤ人に対するイスラエルの視線などこれまで気づくことができなかった部分がたくさんありました。2013/11/10
100名山
5
久々に鳥肌が立つくらいの良書に出会いました。 子供のころ「栄光への脱出」に感動し、「夜と霧」の恐怖し、「シンドラーのリスト」を観て、「千畝」を観劇してその疑問、欠落に気が付き、やっとイスラム教の本を、イスラムの本を、パレスチナの本を読み始めました。しかし本書を読んでパレスチナとイスラエルの関係だけにとどまらず、日本とアイヌ民族、日本と琉球王国、日本と朝鮮半島の問題までが含まれることを再確認しました。2018/07/08
Francis
4
イスラエル占領下にあるパレスチナのヨルダン川西岸・ガザ地区がオスロ合意締結以降、パレスチナ人にとって状況がむしろ厳しくなり、もはやアパルトヘイト時代の南アフリカの黒人やゲットーでの居住を強いられたかつてのユダヤ人と同様の状況に置かれていることが述べられている。著者の両親はホロコーストの生き残りであり、それゆえにむしろイスラエルに批判的な発言を行う彼女の存在は本当に貴重。巻末の徐京植氏との対話も良い。2013/03/08
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