内容説明
動物は本能だけで生きているわけではなく、さまざまな学習の能力を持っている。動物行動学の最新の成果を背景に、動物たちの意外な心の世界を、さまざまな実例をあげて、手際よく解き明かし、人間中心の自然観を鮮やかに覆す、ライフ・サイエンスの最新の視座。
目次
1 人間の色眼鏡?
2 ミス・ハルシーは足をよける
3 ハチにもできる
4 そのさきを考える
5 人間のように感じるとは
6 証拠のバランスをとる
著者等紹介
ドーキンス,マリアン・S.[ドーキンス,マリアンS.][Dawkins,Marian S.]
現在、オックスフォード大学にて動物行動学を講義。1971年のドクター論文は、N・ティンバーゲン(ノーベル賞受賞)との共同研究による
長野敬[ナガノケイ]
1929年、東京生まれ。東京大学理学部卒業。自治医科大学教授。生物学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
赤い熊熊
6
動物たちは我々のように意識を持っているのだろうか。という問いに、まともな中枢神経系を持たないハチでさえできる複雑な行動などを例に挙げて、まずは安易な擬人化を潰します。その上で、序数の概念を持つと考えられるネズミ、さらにヒトと会話してるようなオウムなどの実験を挙げて、ヒト以外の動物にも意識はあると考えた方が合理的だと語ります。2014/04/14
なか
4
・p220 重要なのは他の動物が、広い意味で「快適」または「どんな対価を払ってでも手に入れたい、繰り返し手に入れたい」と感じる心の状態を自覚しているように見えることに尽きる。どんな動物もその動物固有の快・不快軸による分岐を持っている可能性があり、その中には人間の軸と一致するものもあり、私たちの軸とかなり違うものもあるだろう。 2018/01/07
へのへのもへじ
4
21世紀科学が解明すべき難問「意識」。生物学者はいかに捉えるのか。読むべし。2010/02/01
田蛙澄
3
すこし古い本だがとても興味深かった。人間のふるまいから敏感に意図を察してしまうハンス効果や擬人化や期待を排除するため、行動から心を推し量り、他者の心の類推という論理的障壁を飛躍するためにとても慎重な実験がなされてるのが印象的。 ヨウムの数の実験は特に印象的だし、選好を食物との比較でどれだけ障害を超えて欲するかで数値化するのもなるほどなと思った。 動物の心を人間との行動的類推で本当に推し量れるか疑問が起こるが、論理的にはそれは他の人間でも同じなのは重要。そう思わないのは習慣として心を認めてるからだ。2022/02/15
Kunio Hanaoka
2
実験を通して表題のように探ろうとした本だが、はたして人間の感じるやり方で動物たちの心が計れるのか、まずはそこに疑問。言語はあっても、心は計りがたいのでは。2014/05/26