内容説明
水色のくま、浦亀使い、投石大臣、墓見師、猫猿、白い犬頭、猿産み…。びっくり箱をひっくり返したような非日常的イメージの氾濫。その彼方に展開される意表をつく不思議な情景―。現代の感性の尖端を抒情と滑稽で紡ぐ新しい才能の誕生。第7回中原中也賞受賞。
目次
亀待ち
撥水
飼綱
駐在
投石大臣
野辺
狭室
散球
犬師
何曜〔ほか〕
著者等紹介
日和聡子[ヒワサトコ]
1974年9月27日、島根県邑智町に生まれる。立教大学文学部日本文学科を卒業。『びるま』にて、第7回中原中也賞を受賞。東京都在住
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感想・レビュー
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スプーン
42
90年代日本人女性が通った地獄を「ふしぎ」と「かわいい」でデコレートして書き記した詩編。ちらつく「死の影」に頷きながら自身の四半世紀を振り返った。2024/12/26
八百
15
圧倒的な言葉の存在感 どうせなら いつそのこと フランス語やイタリヤ語であつたらよかつたのに。そうすれば 意味など考えずに 言葉のみを楽しめたじやないか…禅宗に「指月」と言う言葉がある。「言葉は月を指し示す指に過ぎない。指そのものを見ても何の意味も無く、その先にある月を見なければ何も判らない。」と言う意味なのだがしかし凡夫にとっては指がなければ月の存在すらわからないのだ。日和さんの詩集を読んでそんなことを考えた。考えたってわからないのにね、そう「びるま」の意味さえも。考えたらダメなんだろう…感じなければ2014/09/27
魚京童!
13
うらしまから入ったけど、言葉の使い方が違うんだ。ぜんぶが違うならそれはそれだけど、アクセント的に使っているから気にかかるんだろうな。2024/06/26
メデスキ
3
基本的に「詩」っていうのは「無い」。これが「詩」の本質で、多くのパンピーは「空白」を指して「詩」と呼んでるわけだ。で、如何に「空白」を創るかが詩人、そして、詩人ではない人間の場合に問われる。さて、著者はどうかというと、このようにして《空白》を創る。AとBを用意する。最後の2~3行でCが出てくる。えっ、AとBはどこ行ったん!?という「空白」。これがこの著者の詩のスタイル。ぺけぽん!
misui
3
再読。詩の向こうに様々な感情が見え隠れするがするりと逃げられてしまう。それは長く読めるということでもあるが。「さるは/逃げて行つたのか/それとも/追つて行つたのか/さつぱりわかりもせず/二、三日経つたが/いまだとんとわからず。」2010/06/14
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