内容説明
「ホモ・ロクエンス」(言葉を使う人)としての人間の本質をなすレトリックを、法学、美学、言語学、心理学、さらにはコミュニケーション論や関連性理論、哲学思想の面から描出することを通じて、「レトリック論」の内実、意義、将来の課題について考察する。
目次
1 伝統に学ぶ―レトリックの現代化(弁論術としてのレトリック―法学からのアプローチ;修辞学としてのレトリック―美学からのアプローチ)
2 認知革命以後―認知科学とレトリック(言語学からのアプローチ;心理学からのアプローチ)
3 コミュニケーションとレトリック(コミュニケーション論からのアプローチ;関連性理論からのアプローチ)
4 哲学思想とレトリック(レトリックの存在理由―ヴィトゲンシュタインと比喩の諸相;現代思想の眺望から―フロイト・ラカン・生命)
5 総括と展望―レトリック論の将来に向けて
著者等紹介
菅野盾樹[スゲノタテキ]
東京大学大学院人文科学研究科博士後期課程単位取得退学。大阪大学名誉教授、東京工業大学世界文明センター・フェロー、ヒューマニック記号学研究所代表、日本記号学会会長。博士(人間科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Saiid al-Halawi
4
研究対象としてのレトリックを真っ向から本気で拾おうとすると、どれだけの射程に及ぶことになるか、という感じ。終盤の記号生物学だけ妙に浮いてる気がするけど、編集は悪くない。あとは、ともすれば皮相的との誹りを投げられがちなこの分野に対する説得的な擁護で一杯。2012/08/31
Ishida the Brain Damaged
0
レトリックという多面的な対象を、様々な分野の研究者が各々の切り口で論じた本。その性質上、狭義の文章術としてのレトリックを扱っている論文と、広義の説得術としてのそれを論じている論文が混載しており、少なくともそれらの区別を認識している程度の知識は前提とされている。個人的に面白かったのは、6章の関連性理論の論文。メタコミュニケーションへの着目が面白い。私が持っているレトリックへの興味は、コミュニケーション論の方向性と近いようだ。2012/08/19
眠り猫
0
レトリックと哲学は近接し相性が良いと改めて気付かされました。修辞学としてだけではなく心理学や哲学ほか多方面からレトリックを分析しており、人類史におけるレトリックの重要性を再認識しました。2025/01/25