内容説明
自然法則に支配され、運に翻弄されているかに見える人間。意のままにならないこの世界で、我々はどこまで自由なのか。「私」という不完全な行為者の意志、責任、倫理を問う。
目次
第1章 行為の意図をめぐる謎(「手をあげる」‐「手があがる」=?;出来事を引き起こす心の働きとは何か?;意図をめぐる問題―そもそも意図とは何か? ほか)
第2章 意図的行為の解明(意図と信念の諸特徴;心をめぐる「一人称権威」は何を意味するのか;心の「隠蔽説」を超えて ほか)
第3章 行為の全体像の解明(意図性の薄い行為―やむをえない行為、他人からの強制に従う行為;意図せざる行為1―「悪質な過失」について;意図せざる行為2―「純然たる過失」について ほか)
エピローグ 非体系的な倫理学へ
著者等紹介
古田徹也[フルタテツヤ]
1979年熊本県生まれ。東京大学文学部(倫理学)卒業、同大学院人文社会系研究科(倫理学)博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)等を経て、現在、新潟大学教育学部准教授。専門は哲学・倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ルル
15
物事を自分で考える、ということを改めて考えさせられた。人の頭やグーグル先生に頼らず、まず自分の頭を使う!これを今からやります(*^^*)2018/12/19
月をみるもの
10
ヒトが見ている世界を物語として捉える時、対象が「主体」ならばそれは「意図」を持ち、「客体」ならばそれは「因果」関係に従うと考える。どちらにおいても、「もし**だったら、〇〇だったであろう」という反実仮想を行える想像力がベースにある。2020/03/01
ミズグ
7
読みやすいのでなんとか最後まで読めた。 結論としては哲学を経ないでもごく当たりまえの結論とも言える。僕と妻の行為は大体一致するのだが、僕の行為は様々に迂回し妻と一致する。 その迂回路がこの本だと思う。2021/09/27
shouyi.
6
「手を上げる」一「手が上がる」=?というウィトゲンシュタインの問いから始まるこの本は、道徳と倫理の違いへと至るエピローグまで哲学の基本とおもしろさと深さを堪能できる一冊となっている。こんなにドキドキしながら読み終える感動を久しぶりに味わえたことを感謝したい。2019/12/17
すずき
6
デカルトやウィトゲンシュタインに少しだけ触れながら、意図的行為と意図せざる行為を焦点に現代行為論の議論を平易に説く本。最終的に意図せざる行為の観点から、倫理学における運の議論へシフトしていく。よくある古典の読了を暗に前提する「入門」ではなく、ここから手を伸ばしていける真性の入門書2019/11/11