内容説明
明治末期から昭和初期まで、世界中を探検してまわった痛快な男がいた。その名は菅野力夫。日本がようやく国際化しつつあった時代に、シベリア、中国、東南アジア、インド、南アフリカ、ハワイ、南米までをも股にかけて歩いた男の謎に満ちた生涯に迫る。
目次
きっかけ
旧制中学中退、そして頭山満の書生へ
日本力行会へ入会
辛亥革命の上海へ
第一回世界探検旅行
第二回世界探検旅行
国内講演旅行
第三回世界探検旅行
絵はがき
第四回世界探検旅行
第五回世界探検旅行
ハワイ事件
第七回世界探検旅行
第八回世界探検旅行
郡山へ転居
探検家菅野力夫
著者等紹介
若林純[ワカバヤシジュン]
1957年9月5日、東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。在学中にヒマラヤ・ダウラギリ縦走隊に参加、ダウラギリ2峰(7,761メートル)登頂。1980年代にチベット・チョモランマ、アラスカ・マッキンレー、ネパール・エベレストに遠征。以来、国内外の自然(環境・森林・山岳を含む)、建築(「日本の別荘・別邸」写真展開催、2005年)、社寺彫刻を中心に撮影・企画・執筆。2000年から指揮者小澤征爾氏を撮影するなど幅広く活動している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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katta
5
膨大な数の絵葉書を残して実態の分からなかった探険家の軌跡を追う。書き残したものは手紙ぐらいしかないので、本当に足跡を追うだけだが、それでも残された写真を見ればどれだけの土地を訪ね歩いたのかと呆然とする。単純に探検ばかりではなく、戦時中は最前線に慰問までして、人を楽しませることが得意だったようだ。コスプレ大好きな探検家ってなんかいい。2010/06/16
Yasutaka Nishimoto
4
写真のほとんどが、これ本当か?と思わせるような異様さ。探検家本人の容姿がそう思わせるのだろうが、明治から昭和にかけての大探検家の名にふさわしい生涯。これだけの人物が無名というのも、もったいない。貴重な資料。2016/04/02
Takashi Fujimoto
3
テレビや本、ネットなどで世界中どこでも行った気になる現代に生きてると、全世界に未開の地があって探険できた時代が羨ましく思える。そんな時代に世界中を探険した菅野力夫という人のお話。全8回の探険のうち、最初の2.3回が探険らしい探検で残りは講演旅行の趣が強い。各地で様々な人達と触れ合うのだが、その中で印象に残ったのは世界各地に移民して日本人町を作った人たちの逞しさ。その当時外地に出ることは相当な覚悟がいったはずだけど、リスクを顧みず、日本人としての誇りを持って外地で活動する姿には頭が下がります。2016/01/01
mochico
2
表紙の怪しさ。 決してCGではない。 ぶっ飛んだ生涯を生きた男性。 SNSのあるこの時代に彼が生きていたら、 どんなものを見せてくれるのか。 きっと自撮りたっぷりに違いない。 そして私はきっといいねを押してしまう。2020/06/08
niningasih
2
再読。インドネシア関係だと当時のトコ・ジュパンを訪問した記述や写真もあり、なかなか興味深い。全編に通じていることだが、菅野氏の傑出した容貌と行動力がよりいっそう神出鬼没感を強めている。ユニークな一冊。2014/05/30