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アクロイドを殺したのはだれか

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784480837110
  • NDC分類 933
  • Cコード C0098

内容説明

アカザ・クリスティーの代表作として、またミステリー史上最大の問題作として知られる『アクロイド殺害事件』の犯人はその人物ではない―文学理論と精神分析の専門家バイヤール教授が事件の真相に挑戦、名探偵ポワロの「妄想」を暴き出し、驚くべき(しかし十分に合理的な)真犯人を明らかにする。「読む」ことの核心に迫る文学エセーとしても貴重なメタ・ミステリー。

目次

A 捜査(殺人;捜査 ほか)
B 反捜査(終りなき夜;嘘つきのパラドックス ほか)
C 妄想(道の交わるところ;妄想とはなにか ほか)
D 真実(カーテン;真実 ほか)

著者等紹介

バイヤール,ピエール[バイヤール,ピエール][Bayard,Pierre]
1954年、パリ生まれ。パリ第八大学教授。文学を精神分析に応用する「応用文学」の提唱者であると同時に分析療法の実践家でもある

大浦康介[オオウラヤススケ]
1951年、長崎県生まれ。京都大学助教授。専門は文学理論
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

本木英朗

25
『アクロイド』読書会用に再読。著者はフランスの文学者で精神分析療法の実践家でもある。かいつまんでいうとポアロの推理は妄想の産物で、真犯人は別にいるという独自の推理を、シェークスピア作品の読解を応用しつつ開陳している。『アクロイド殺し』という作品が持つ「ある二重性」を弱点としてそれを根拠に着実な思弁を重ねていくわけだけど、この思弁そのものが専門知識とレトリックに飾られた恣意性を持ってしまう、ようにも読める。テキストの読解としては秀逸だけど、ミステリ作品の楽しみ方としては凡庸だな、と再読して感じました。2016/08/23

masabi

16
【要旨】クリスティ「アクロイド殺人事件」にて探偵ポアロが名指しした犯人とは別の真犯人を探偵役バイヤールが推理する。【感想】精神分析の知見、他のクリスティ諸作のネタバレを交えつつ、意外な真犯人を推理するスリリングな一冊。ただバイヤールの紐解いた真相だったら「アクロイド殺人事件」はミステリ史にその名を刻まなかっただろうなというのが正直な感想だ。登場人物の探偵が主張する真相以外にも真相はあり得ることを知ることができたのは収穫だ。2016/12/08

rinakko

15
すこぶる面白かった! うん10年ぶりに『アクロイド殺し』を読み返し懐かしく感じ入ったことが目の前で突き崩されていったけれど、不思議と快感でもあり堪能した。ミステリ作品では、最後に真犯人を指すことで幾つも存在する解釈を1つに収斂させなければならない、そこが他の文学テクストとは大きく違う。でももし、名探偵がたどり着いた解釈さえ彼の妄想の産物だったとしたら…(で、妄想には妄想を)。『終わりなき夜』や『カーテン』への言及も多く、妄想とは何ぞや…という考察(妄想と理論の相互浸透の問題など)には読み応えがありよかった2015/08/02

黄色と橙

11
再読(初読時の感想はhttp://j.mp/QZz2Vs)。意味を分散させ不明瞭にするように構築されたテクストの解釈可能性に極限まで挑み、テクストと読者のあいだの中間的世界に逃げ込んだ真犯人に迫ろうとする野心作。非常にスリリングで面白い本です。本著において焦点化される読者の介入の問題は『アクロイド…』に限ったものではなく、例えば本著でもたびたび言及されるプルースト論におけるテクストの流動性でも重視されているらしいので、ナラトロジーに関心のある方に広くお勧めできます。2012/08/14

黄色と橙

11
こういう本との出会いがあるからこそ読書は止められない。とにかく楽しい!訳者あとがきによると、著者は文学批評における文学と精神分析の関係の逆転、即ち、精神分析理論をより豊かなものにするために文学を応用することを提唱しているのだそうです。そのためフロイトやラカンなどが頻繁に言及されており、ミステリファン向けボーナストラックとして読むには内容は難しめ。ですが、テクストの××を揺さぶろうとしたクリスティの意図に肉薄するには最良の一冊。勿論メタミステリとしても文句なしに面白い!迷ってるなら是非。ただしネタバレ満載2011/10/11

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