出版社内容情報
「あこがれと離反、愛惜と沈潜、生誕(未生)と葬送、……こうした、表裏となるような推移と変転が、滲透する時空と相搏つ〈開かれ〉のうちに、明滅する」
(杉本徹)。
季節とともに描かれる、瑞々しいイメージ。
青くあふれる希求をたずさえ、いま静かに歩みはじめる。
現代詩手帖投稿作を中心に集成した、待望の第1詩集。
装幀=カニエ・ナハ
萩野なつみ[ハギノナツミ]
著・文・その他
目次
朝に
真昼
半夜
晩夏
遠雷
九月
水脈
初冬
冬
遠葬〔ほか〕
著者等紹介
萩野なつみ[ハギノナツミ]
1982年生まれ、詩誌「Aa」同人。『遠葬』が第1詩集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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10
ページとわたしたちの交感によってからだの内側に生起する余白の風景のなかで、詩行は、しずかにめざめ息をひきとる墓標だ。散骨されるように断片化された言葉には消え入ってしまいそうな感触があり、少し濡れている。そのあいまに聞こえるかすかな声に耳をすますことが詩を読むということなんだと思う。 (ブログに感想を書きました。 https://sad-sardine.hatenablog.com/entry/2018/07/30/174054)2018/08/25
しゅん
9
「あなたの書き起こす/譜面に触れる」と読むときのたしかな高揚感。そのすぐにただ「雨」とだけ書かれるのは視点移動の業か、感情を洗い流していく時間のアレゴリーか。見ることへの想像力と想像することへの視力がともに開かれる体験。と評したら、批評の言葉が詩的にすぎるだろうか。言葉と感覚の距離を測りながら、遠くで流れる時を葬る。2018/12/31
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4
改行を繰り返しながら/おまえのうつくしい帆がすべってゆく/その過程に/こまやかな雨がそそいでいる/すでに削がれた踵を/四分儀にして/北へ (「春葬」)2018/01/18