出版社内容情報
混乱する脂質に対する見方に対し『日本人の健康と脂質』を学問的にどう見るのが公平かということの指針として編まれたものである。本書の目的は、「脂質の摂取と健康」との関係をひも解くことにある。しかし、わが国の脂質栄養学が提供してくれる情報は極めて限られており、肥満が社会問題となっている現状では、脂質はむしろ摂取を控えるべき栄養素となっている。 ・・ところが、わが国では脂質の健康機能に関する信頼に足る介入試験の成果は欠如しており、諸外国からの関連情報をどう読み取ればよいのかと言う大きな問題点がある。本書では、健康と係わりが深い資質(油脂)成分の栄養問題を科学的のみならず学問的に中立的な立場から理解するため、出来るだけ多くの情報を解りやすく解説することで読者の判断を容易にするよう努めた。ただし、栄養学の常識とは言え、明確な結論を導けないことも避けられない。
本書は、研究者だけでなく、栄養指導に係わる管理栄養士の皆さんにも広く利用して頂きたい。絡まった糸のような状態にある脂質(脂肪酸)と健康との関係を正しく理解するのに本書が役立てば、著者としての望外の喜びである。
菅野道廣[スガノミチヒロ]
著・文・その他
目次
第1章 脂質栄養を理解するための基礎知識
第2章 脂肪の消化と吸収
第3章 脂質の栄養機能
第4章 脂質の生理機能
第5章 油脂と肥満
第6章 コレステロールの栄養学
第7章 植物ステロールの栄養学
第8章 脂質の食事摂取基準
第9章 食用油脂の安全性を巡って
第10章 脂質と健康:新しい情報を中心に
著者等紹介
菅野道廣[スガノミチヒロ]
1962年九州大学大学院農学研究科博士課程修了、農学博士。1962‐1964年米国Harvard大学公衆衛生学部栄養学科博士研究員。1964年九州大学農学部栄養化学講座助手、1966年同助教授、1977年同教授(1991年から食糧化学講座教授)。1997年九州大学停年退官、同大学名誉教授、同年熊本県立大学生活科学部教授。2000年同大学学長、2004年退官、同大学名誉教授。食品・機械研究会(会長)、必須脂肪酸と健康研究会(会長)、タマゴ科学研究会(理事長)、機能油脂懇話会(旧CLA懇話会)(世話人)、加工油脂栄養研究会(名誉会長)、油脂・コレステロール研究会(名誉会長)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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