内容説明
時は15世紀。英国コーンウォールの勲士トマス・レミュエル・ホークは、スローターブリッジの戦いで斃れた323人のうちのひとりだった。その戦いの前夜、もう自分が家に戻ることがないと察した彼は、祖父から受け継いだ「騎士の掟」を4人の子どもたちに伝えるべく、遠く離れた戦地で手紙をしたためる。その掟は、孤高、謙虚、正義をはじめとする20の項目で構成され、トマスにとって特にかけがえのなかった物語や出来事で綴られていく―人生がもたらす意味と美しさを描いた珠玉の短編集。
著者等紹介
ホーク,イーサン[ホーク,イーサン] [Hawke,Ethan]
アメリカの俳優・作家・小説家・映画監督。これまでに4回アカデミー賞にノミネートされている(助演男優賞2回・脚色賞2回)。4人の子どもたちと、イラストレーターで妻のライアン・ホークとともに、ニューヨークのブルックリンに在住
大久保ゆう[オオクボユウ]
フリーランス翻訳家。幻想・怪奇・探偵・古典ジャンルのオーディオブックや書籍のほか、絵画技法書や映画・アートなど文化史関連書の翻訳も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
29
タイトルにつられて読みはじめ、あらあらイーサン・ホークさんじゃない、と気づきました。こんな現代的な考えの英国人騎士は15世紀にいるわけないでしょ!大きな戦いの前にこんな文章長々綴ってたらそりゃ死ぬわ!とかツッコミを入れつつ楽しく読みました。それでもやっぱり剣術とかある国の人間ですから、こういうお話は好きなのよ。彼らしく一方的にロマンチックな内容でした。2021/01/22
もっちー
4
【誇り】けして騎士でないふりをしないこと。また自分を卑下しないこと。そのほうが相手も気楽になると思っているかもしれないが、自分の最善を見せることこそ、相手への最大の敬意になるのだから。【鍛錬】戦場では、何事とも通じることだが、訓練した分の動きしかできない。だからこそ一心に修練せよ。特訓して目的を達するための道を作るのだ。細部へのこだわりにこそ特技が宿る。いつ何時もおのれのすべてを注ぐのだ。帰路に余力など少しも残すな。騎士は備えるほど、負ける気がしなくなるものなのだ。2023/05/17
ikura193
1
啓蒙的なメッセージを含むけど、イベントと結びつく分、説教くさくない。「人が傷ついたときに一緒に悲しむのは容易いことである。ただし、他人のみに幸運が降ってきたときにそれを本心から喜ぶというのは、はるかに困難なことだ」(うろ覚え)って一文は当たり前なんだけど、普遍的な価値観だって思って少し安心した。騎士道、崇高な人間として生きる道筋として全うしていくには難しいかもしれないけど、その一つを道標として生きていくには丁度いいのかも。(日本人なら武士道も極めたいところ?)2022/08/21
おちょま
0
親戚の家から出てきた手紙を元に書いたというのを信じて読み出したか、所々???な感じがして、15世紀を感じないなと、思ったら、どうやら完全にフィクションだったみたい。良かったんだけど、なーんだと言う気持ちが抑えられない(笑)。2022/08/08