内容説明
ヘリコバクター・ピロリ(いわゆるピロリ菌)が初めて分離培養・同定されてから、わずか二十年足らずであるが、この細菌と胃十二指腸潰瘍や胃がんとの関連についての研究が飛躍的に進歩したことは周知の事実である。本書は、その分野で指導的立場にある研究者や臨床医を取材して書き上げられた、ピロリ菌に関わる現場に直結した最新レポートである。
目次
第1章 正体を現わした胃の新しい病気(“カイヨウ王国”に起きた大異変;ご存知ですか、NUDとFD、そしてGERD ほか)
第2章 胃ガン原因説の謎解きにも迫る(世界が注視する日本人医師;WHOはピロリ菌を第一級の発ガン因子に認定したけれど ほか)
第3章 人体実験で医学の定説を覆す(オーストラリア人医師の勇気ある挑戦;もう一つの功績は分離培養の大成功 ほか)
第4章 ピロリ菌の奇妙な正体とミステリアスな感染経路(厄介で捉えどころがなく、得体の知れない細菌;人間はどこから、どう感染するのか)
第5章 どうすればピロリ菌と縁を断ち切れるのか(まず検査、そして除菌治療;抗生物質に頼らない方法を模索する)
著者等紹介
大谷克弥[オオタニカツヤ]
医療ジャーナリスト、読売日本テレビ文化センター講師。旧・東京教育大学(現・筑波大学)文学部卒。1960年、読売新聞社入社。社会部記者、社会部次長を経て、編集委員、科学部長、編集局次長、編集局総務などを歴任。編集局次長当時に企画、創設した長期連載「医療ルネサンス」は、94年に日本新聞協会賞、96年に菊池寛賞を受賞。「医療ルネサンス」は、退社後も引き継がれ、03年10月現在、総回数3200回を超えるロングラン連載記録を更新し続けている
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