感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
10
ノモンハン戦45周年すなわち1984年にモンゴルで編集された記念出版物の邦訳。ペレストロイカ以前の書籍であるため、冷戦のロジックそのままの紋切り型な内容ながら、モンゴル人のノモンハン観を知る上では有用。我々はとかく日ソの国策に目を奪われがちだが、モンゴルにとっては国土防衛こそがあの戦いの眼目だった。実際、中国から独立してまだ日が浅かったモンゴルにとり、満洲国からの領土要求は脅威であったはずだ。本書でも、ノモンハンの前史は張鼓峰などではなく、36年頃から続いた国境紛争に求められている。2024/03/01
印度 洋一郎
5
「ハルハ河会戦」というのは、日本でいう「ノモンハン事件」の事。戦いの地であるモンゴルにとっては事件等という小規模な戦闘ではなく、モンゴル建国以来国難とも言える戦争だった。その戦役に参戦したモンゴル軍将兵の回想録であり、上は軍副司令官のラハグワスレン、モンゴル側の主力だった第6騎兵師団、第8師団、国境警備隊などの各部隊の指揮官の手記で構成されている。元々はモンゴル国内で編纂されたが未刊だった原稿を、日本人研究者が邦訳出版したもの。共産主義時代の文章なので、ソ連軍への友愛が強調されているのが印象的。2023/05/24
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